「だが、情熱はある」「泳げ!ニシキゴイ」…知っていても“芸人の半生”がドラマ化されるのはなぜか
近年よくある「芸人の半生ドラマ化企画」
2023年4月9日、若林正恭と山里亮太の半生を描くドラマ「だが、情熱はある」(日本テレビ系)が始まった。若林と山里は「たりないふたり」というユニットとして番組やライブに出ていたこともあり、ほぼ同世代のライバルとしてしのぎを削ってきた。このドラマでは、そんな彼らの生い立ちや、芸人として苦労を重ねた日々が描かれている。
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少し前には、同じ日本テレビの朝の情報番組「ZIP!」の中で、お笑いコンビ・錦鯉の半生を描くドラマ「泳げ!ニシキゴイ」が放送されていたこともあった。また、2023年3月には安田大サーカスのクロちゃんの半生を描いたドラマ「クロちゃんずラブ~やっぱり、愛だしん~」(Paravi)も配信開始された。
これらだけでなく、近年の映像業界では芸人の半生をドラマ化するような企画がたびたび行われている。
Netflixでは、ビートたけしの自伝をもとにした「浅草キッド」、ジミー大西の半生を描いた「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」が配信されているし、2021年にはフジテレビで志村けんの芸人人生を描いた「志村けんとドリフの大爆笑物語」が放送された。
芸人は最もメジャーで身近な有名人
このような芸人を題材にしたドラマが増えている理由は、今の時代には芸人が最もメジャーで最も身近な有名人であり、人々がその人生にも関心を持っているからだ。
たとえば、大河ドラマなどの歴史上の人物を題材にしたドラマに根強い人気があるのは、その人物が成し遂げたことや時代背景について、ある程度の共通認識があるからだ。
たとえば、織田信長を扱った歴史ドラマを見る前に「桶狭間の戦いで勝って、本能寺の変で死んでしまうっていう流れがわかっているから退屈だな」と思う人はいない。むしろ、わかっているからこそ、それを楽しみにしてドラマを見るのである。
極論すれば、現代の芸人とは、歴史上の人物と同じような存在である。人々は、テレビを見て彼らの芸を楽しむだけではなく、彼らの人生そのものをドラマとして味わっているようなところがある。
ビートたけしなら、フライデー事件とバイク事故の二度の危機を乗り越えて復活したこと。明石家さんまなら、大竹しのぶとの結婚と離婚。タモリなら、赤塚不二夫との師弟関係。それぞれの芸人にはそれぞれのドラマがあり、「伝説」として人々の記憶に刻まれている。それをドラマの形で改めて楽しみたいと思う人がいるのは、不思議なことではない。
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