大学卒業後は3年間、学習塾で英語の講師を…キムラ緑子が語る“演劇人生の原点と現在地”

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“似た者同士“の大谷亮介とは長いコンビに

――7月には普通の人から一変。米国ラスベガス生まれの日系人であるドリー・キムラに成りきり、ハワイ出身のタニー・オオタニ(大谷亮介・69)とヴォーカル・デュオ「ドリー&タニー」を組んで、芝居仕立てのジャズ・コンサートに臨まれます。初演は2008年で、以降はほぼ定期的に上演されていましたが、コロナ禍があったので、東京公演は5年ぶりになります。

「久しぶりなので、まず皆さんと楽しくやりたいですね。観客の皆さんにも楽しんでほしい」

――見どころは?

「たくさんあるんですが、私とタニーの2人が年を取ったこともその1つかな。それが良い方向に出ると思いますよ。それと今回は『ダイナマイトしゃかりきサ~カス』という一流のプロのコーラスが参加してくれます。コーラスをプロの方がやってくださると、全然違うんです。私たちの下手な歌も上手に聴こえる(笑)。さらにジャズ・ギタリストの進藤洋樹さんも加わってくださいます。楽曲部分だけでショーとして十分に楽しんでいただけます」

――年齢を重ねると、演技に味が出るものですか。

「そう思います。役者が生きてきた人生みたいなものが出るからでしょう。どんなことが好きで、何に怒りをおぼえるとか、そういうものが芝居に表れてくるものだと思っています」

――「相棒」の三浦警部補役などで知られるタニー役の大谷亮介さんは、やはりベテラン演劇人。長いコンビになりましたね。

「なんで相手がタニーだったんだろうと今さらながら思います(笑)。まだ一緒にやっていると、『なんのご縁ですかね』つて感じです」

――大谷さんとはウマが合う?

「私たちだから出せるニュアンスはあると思うんです。似たもの同士なところがあるんですよ。2人とも落ち着きがないとか。お互いに欠陥商品なので、それを補い合っています。タニーは大切な物を電車内に置き忘れてしまったりするんですよ。あっ、自分のことを貶すのはいいけれど、他人のことを貶すのは失礼ですね(笑)。だけど、大谷さんの場合、欠陥が愛嬌になっているんです。『ダメだなぁ』と思わせる部分が好き。優しい人でもあり、一方でお芝居は深い。一番の魅力は、いつも必死感があることですね。常に物凄く一生懸命。『まぁ、いいか』で済ませてしまうことがないんです」

――2人はどんな曲を歌うのですか

「『モナリザ』(ナット・キング・コール)とか『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』(フランク・シナトラ)など、みんな知っているジャズばかり約15曲です」

――ミュージカルにもよく出演されます。歌も好き?

「ええ。凄く好き。母親が日常的に歌っている人でしたが、私もそうなっちゃいました。何かをやりながら、いつも歌っています」

――ミュージカルの経験は学生時代の演劇サークルのころから?

「まさかぁ(笑)。あのころは、そんな小洒落た劇をやるところはありませんでしたよ」
――いつも生き生きとされています。これはという健康法はありますか?

「食べ物には気を付けています。いろいろ混ぜてあるものより、単純な物を食べます。お豆腐とか、お刺身とか、シンプルな物が好きですね」

キムラ緑子(きむら・みどりこ)
1961年、兵庫県洲本市生まれ。同志社女子大学在学中に演劇を始め、1984年に「劇団M.O.P.」の旗揚げに参加(2010年解散)。映画「波紋」(5月26日公開)や「大名倒産」(6月23日公開)などに出演

■「Dolly&Tanny Summer concert 2023~ひさしぶりやんかいさ!いやほんまに~」
名古屋公演:7月26日・ダイアモンドホール(名古屋市中区)、東京公演:7月27日~30日・博品館劇場(東京都中央区)

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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