銀座強盗、“ドアを閉めて話題になったバーのママ”が証言 「殺されたら困るなと思いました」
東京・銀座の高級腕時計店を白マスクの3人組が襲う様子はスマホで動画に撮られ、ネットで拡散された。犯行グループと“対峙”した銀座ママ。逮捕されたのは闇バイトの一味ではなく、19歳の元暴走族の「頭」が率い、16歳のか弱き手下を従えた少年たちだった。
***
【写真を見る】カメラにピースをする「19歳リーダー」 元暴走族のヘッドだという
全身黒ずくめ、顔を不気味な白のフェイスマスクで覆った3人組が5月8日午後6時20分ごろ、東京・銀座のロレックス専門店「クォーク銀座888店」に押し入った光景は、行き交う人々のスマホに動画で収められ、ニュースで大きく報じられた。それは映画のワンシーンのようだった。
店内に並ぶショーケースを、入口左手にあるものから1人がバールで順に打ち壊していく。侵入者があったことを告げる警報音が鳴り、ガラスの割れる音が響きわたる中、2人が分厚いグローブをはめた手を、破損させたケースの中に慌ただしく突っ込む。
70点あまり、金額にして2億5千万円に及ぶお宝の高級腕時計は、こうして二つの黒い鞄に放り込まれていった。
「みんな写真や動画を撮っているだけで」
犯行時間は約2分。異様な場面をただ遠巻きに眺める人、我関せずとばかりに立ち去る人……。しかし、その女性だけは違った。
「あの日はちょうど、沖縄から東京に帰って来たタイミングで、お土産がたくさん入った買い物袋を手に持っていました。SNSでは“銀座の買い物帰りのマダム”なんて言われましたけど、そんなことはなくて」
と語るのは、さる銀座のバーのオーナーママだ。彼女は自身の店に出勤する際、偶然に現場を通りかかった。
「最初は何が起きているのか分かりませんでした。でも、何かの撮影にしては乱暴にモノを壊しすぎてますし、良くないことが起きていると判断したんです」
だから、すかさず警察に通報したという。
「“たぶん強盗です”と伝えましたら、警察の方からは“(すでに)今向かっています”と言われまして」
その後、店のドアを外側から閉じようとした彼女の姿が話題を呼んだ。
「なんであんなことできたのかって聞かれても、目の前で犯罪が起きたら止めようとしませんか。とっさに体が動いたんです。せめて警察が来るまでは、犯人たちを店の中に閉じ込めようって……。でも、みんな写真や動画を撮っているだけで。店の前の通りにはあんなに人がいたのに……」
[1/4ページ]