コロナ禍で好き放題やりまくりだった「感染症の専門家」 15以上の“理不尽ルール”を改めて振り返る(中川淳一郎)

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 プロ野球選手が引退後、異業種に転身して仕事を頑張ると、メディアから取材され、記事になります。すると、ネットニュースのコメント欄では「プロ野球では挫折もあっただろうが、曲がりなりにも野球でトップを取った人の真面目さや天性の能力は次に生きるはず。別の世界でも頑張ってほしい」と応援されます。

 一方、こうした元選手が犯罪行為に手を染め、逮捕された場合、容疑者となったその“元選手”は「野球以外やっていなかったから社会が分からなかった」といった供述をすることになるワケです。しかし、この供述は的外れとも感じます。

「野球以外やっていなかったから……」というのは甘えです。野球だって社会の一つです。不祥事を起こした弁護士が「弁護士の勉強ばかりしていたから」「法律の世界にしかいなかったから」と言い訳したら許されるはずもない。「野球ばかりしてきたから社会性がなくても許してね、てへっ!」的な方便が通じるワケがないのです。

 なんで社会は元プロ野球選手の不祥事やら犯罪に甘いのか。「あいつらはバカだから仕方がない」というどこか見下した気持ちがあるからでは。それは元プロ野球選手に対して失礼なことです。

 さて、本題へ。この3年4カ月にもおよぶコロナバカ騒動を見た人間としては、医者連中が完全に「医者の世界にしかいなかったから社会が分からなかった」という状態で人々の行動様式を規制したことがよく理解できました。政府分科会も含め、医者連中が「感染対策」「コロナ撲滅」のために国民に強いた施策を並べてみましょう。初期はともかく、全部「お祈り」程度のものですよ。コロナはオミクロン以降、完全に季節性インフルエンザよりも致死率の低いウイルスになりました。それなのに初期の設定をかたくなに変えない。どれも意味がなかったのです。「やらないよりはマシだった」はナシで。そんなもんは証明できないし、「やっても無駄だった」なのです。

 マスク着用/必要に応じ2枚着用/アクリル板/ビニールカーテン/県をまたぐ移動禁止/飲み会は2時間以内/会食は4人以下/黙食/帰省自粛/施設にいる老親の面会禁止/結婚式中止/イベントは無観客開催/スポーツの試合は収容人数の50%/商業施設の消毒/極寒の中、電車の窓や飲食店のドアを開ける/椅子は1席ずつ空ける/4人掛けテーブルは2人まで、しかもはす向かいで……。

 いずれも「なんか効果があるかもしれない」という程度のもので、専門家が思い付きで言ったとしか思えません。そして、世間に漂う「空気」とともに効果の検証もないまま、「もうそろそろいいか……」。これらの対策(笑)がなし崩し的に終わるのです。

 本当に感染症の専門家とやらは好き放題やり過ぎました。経済・政治・文化・教育・心理・貧困問題・労働問題・交通・外交のド素人である彼らが日本全体の舵取りをすることをなんで自公政権は許したのですかね? 政治家失格だわ。われわれは専門家に選挙で票は投じていません。それとも貴殿らは「ワシら感染症の勉強しかしていなかったから、てへっ!」とでも言うつもりですか?

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2023年5月18日号掲載

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