巨人・ブリンソンに負けない?「チョンボ&珍プレー」で名を売った“懐かしき助っ人”

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「活躍するけど、とんでもないことをしてくれるよ」

 チョンボといえば、1997年に松井秀喜に1本差で本塁打王に輝いたヤクルトのドゥエイン・ホージーも、ブリンソン顔負けの走塁ミスを犯している。

 同年8月25日の中日戦、1回1死二塁、3番・ホージーは今中慎二から左中間に本塁打性の大飛球を放った。

 先制2ランを確信したホージーは、「どうだ!」と言わんばかりにゆっくりとした歩調で一塁に向かったが、打球が左翼フェンスを直撃して跳ね返ってくるのを見ると、慌ててギアチェンジして、全力で二塁に駆け込んだ。

 タイムリー二塁打で1点を先制し、なおも1死二塁のチャンスと思われたが、ファースト・大豊泰昭が一塁ベースの踏み忘れをアピールし、ボールを持っていた今中が大豊に転送すると、有隅昭二一塁塁審はアウトを宣告。「しっかり踏んだ。左足で踏んだが、心もとなかったので、右足でベースを蹴り上げた」の抗議もあえなく却下され、ホージーには投ゴロが記録された。

 追加点のチャンスを逃したヤクルトは、2回以降立ち直った今中に抑えられ、1対3の逆転負け。野村克也監督は「ちゃんと踏んでればいいこと。ホージーは活躍するけど、とんでもないことをしてくれるよ」とボヤキまくりだった。

投げつけたグラブがボールに命中

 まるでコントみたいな抱腹絶倒の珍プレーを演じたことで知られるのが、ロッテ時代のホセ・オーティズである。

 2008年5月4日の西武戦、2点をリードされた5回、西武の先頭打者・栗山巧が一、二塁間に鋭いゴロを放った。ファースト、フリオ・ズレータが止めようとしたが、グラブに当たり、打球はそのまま右前に抜けようとした。

 ところが直後、セカンドのオーティズが突然左手のグラブを外して右手に持ち替え、打球を追いかけながら「エイヤー」とばかりに投げつけると、見事ボールに命中。まるで手品のようにピタリと止めてしまった。

 だが、野手がグラブを故意に投げてボールに当てるのは、ルール違反。ペナルティとして3個の塁が与えられる(野球規則7.05C)。

「必死にボールを追いかけていたら、ああいう行動に出てしまった。無意識のうちにやってしまった」と涙を浮かべながら反省したオーティズだったが、あとの祭り。西武は無死三塁から石井義人の中犠飛で3点目を挙げ、試合を決めた。

 ボビー・バレンタイン監督も「ああいうプレーはこれからないと思う。これ以上聞かないでくれ」と苛立ちを隠せなかった前代未聞の珍プレーは、ダイエー、ホセ・ヌーニェスが三塁線に転がったセーフティバントの打球に息を吹きかけてファウルにしようとした“ボールフーフー事件”とともに、動画サイトで人気を博している。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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