「晴海フラッグ」に早速群がる転売ヤーたち 未入居のまま転売で約5千万円の上乗せ
最高倍率266倍を記録した東京・中央区のマンション「HARUMI FLAG(以下、晴海フラッグ)」。24棟、約5600戸の巨大マンション群は東京五輪の選手村としての役目を終え住民の入居を待つばかりだが、さっそく“転売ヤー”のターゲットになっていることが分かった。
東京都内の不動産業者が言う。
「晴海フラッグの販売が始まったのは、2019年からです。コロナで五輪開催が延期になり、入居が遅れ裁判になったことが話題になりましたが、来年からようやく引き渡しが始まります。ところが、今年4月下旬になって、販売されたはずの物件が、不動産サイトの「SUUMO」などにすでに掲載されていたのです」
それによると、未入居のまま売りに出されたのは北西の棟など数部屋。たとえば「SUN VILLAGE D棟」の9階にある61.06平方メートルの部屋は、9100万円で売りに出された。ここは、販売当時の価格は5570万円。実に3500万円以上が上乗せされたことになる。
「転売制限をかけるべきだった」
また、同じく「SUN VILLAGE C棟」の9階にある72.88平方メートルの部屋も1億800万円とある。こちらは販売時の価格が6020万円だから実に約4800万円の上乗せである。すぐに売れてしまったのか、それとも騒ぎになってはマズいと思ったのか、サイトからは消えてしまったが、いずれも販売当時より価値が高くなっていることは間違いない。
住宅評論家の櫻井幸雄氏が言うのだ。
「いったん発売された新築マンションがすぐに転売されるということ自体は珍しくありません。しかし、晴海フラッグはもともと晴海地区の公共用地を払い下げて建設されたマンションなので、利ザヤのための転売はあまり歓迎されるべきことではありません。デベロッパー側(東京都など)も、何年間かは“買値以上の価格で売ってはいけない”などの転売制限をかけるべきだったと思います」
もっとも、買ったばかりのマンションを未入居のまま他に売ってしまうと、最大3千万円の特別控除が使えなくなり、転売益に目いっぱい課税される。それでも、たった1年で数千万円の利益が転がり込んでくるのだから、これからも晴海フラッグが転売ヤーに狙われるのは間違いない。