山口補選、安倍昭恵さんの熱心な活動に周囲も驚き 一方、岸田総理との間でハレーションを起こす懸念も

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強権的な人事

 ところが、萩生田光一政調会長をはじめ、派閥幹部らの真意は別にあった。

「次の選挙で吉田さんが比例区に転出するのは既定路線。宏池会に選挙区を明け渡すことになる清和会は、少しでも高値で売りつけようと考えた。例えば、次回と次々回選挙で吉田さんを比例中国ブロック1位に処遇させ、さらに萩生田さんらの主張どおり防衛増税の時期を先延ばしさせるなど」

 とはいえ、あまりに強気な交渉は思わぬハレーションを起こしかねない。一昨年には同じ山口県で強権的な人事が行われていたからだ。

「現3区からの出馬を巡り、林さんと河村建夫元官房長官が争い、河村さんが敗れたんです。引退に追い込まれた河村さんは、引き換えに長男・建一さんの比例中国ブロックでの出馬を求め、一旦は決まりかけた。にもかかわらず、建一さんの出馬は急に北関東ブロックに変更されて落選しました」

 背景には安倍元総理の強い意向があったという。

「清和会が昭恵さんを盾に、総裁派閥の宏池会に選挙や政策面で譲歩を求め過ぎるのは危険です。岸田総理がヘソを曲げて“それなら(岸信夫前防衛相の後を継いだ)信千世を比例に出せ”などと言い出しかねませんよ」

 それこそ昭恵さんが守るべき安倍・岸両家の一大事。

週刊新潮 2023年5月18日号掲載

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