巨人・三塁手で2年連続GG賞の岡本 “ミスター超え”に黄色信号? 一塁手での出場が続く主砲の本心はいかに
自力でポジション奪い返せるか
実際、三塁手として3年連続でGG賞に輝けば、球団史上初の偉業となる。岡本は、昨年のGG賞授賞式において、三塁手部門で歴代最多8度の受賞歴がある松田宣浩が巨人に新加入することを受け、「負けないと思ってやっているので。レギュラーという座は守りたいと思います。取られないように頑張ります」と、ポジション死守に並々ならぬ意気込みを覗かせていた。それだけに、一塁へのコンバートには忸怩たる思いがあるのは間違いないだろう。
岡本の今後のポジションを占う上で、鍵を握るのは中田の存在だ。一塁手として開幕からスタメン出場を続けた中田は、リーグトップタイの7本塁打をマークしていたが、4日のヤクルト戦の走塁で負傷。登録抹消となった。今後、中田が復帰すれば、開幕時からと同様に一塁手は中田が務め、岡本は三塁手に戻ることになるだろう。ただ、この巨人関係者は「三塁はホットコーナーと呼ばれるだけあり、強い打球を処理する機会が多い。しばらくポジションを離れると感覚がズレるので、岡本が三塁に戻っても守備でのミスが怖い」と危惧している。
そういう意味では、中田の復帰前の段階でも、岡本が一塁手としても守備面で大車輪の活躍をみせ、自ら三塁のポジションを取り戻す必要があるのは言うまでもないだろう。新キャプテンとして3年ぶりのリーグ優勝を目指す主砲の意地に期待がかかる。
玉突きで師弟外野コンビの誕生も!?
それでは、「三塁・岡本」が復活した場合、華麗な守備でファンを魅了している「代役三塁手」の門脇はどうなるのか。本来は遊撃手の門脇の今後を左右するのは、言うまでもなく坂本勇人内野手(34)だろう。坂本は昨季、度重なる故障の影響で、レギュラーに定着した2年目以降では最少となる83試合の出場にとどまった。今季も復調してきたとはいえ、打率は低迷し、やはり遊撃手として守備面の負担は大きく、年齢による衰えは顕著となっている。
ここで現実的になってくるのが、坂本の遊撃手から一塁手へのコンバートだ。「一塁・坂本」の構想は、原監督は過去にも坂本に打診して断られたことも明かしている。「一塁・坂本」「三塁・岡本」「遊撃・門脇」が実現すれば、若い三遊間の誕生で巨人の内野はしばらく安泰するだろう。一方で、坂本には“三塁転向”説も取り沙汰されており、岡本の「4番・三塁」にさらなる不安材料となりかねない。
ポジション争いの玉突きにより、続いて問題になるのが中田のポジションだが、一部のファンからは、「師弟外野コンビ」の誕生を望む声が上がっている。中田を、自主トレに同行させた身長2メートル超の愛弟子・秋広優人内野手(20)と共に、外野手として起用するプランだ。
中田は巨人に移籍する前の日本ハム時代、左翼手で球団記録のシーズン19捕殺を記録するなど外野手としても高い守備力を発揮。巨人移籍後も、交流戦を見据えて外野の守備練習には励んできた。
4月29日の広島戦では、秋広が右中間スタンドに豪快なプロ初本塁打をたたき込んだ後、師匠の中田が9回に逆転サヨナラ2ラン本塁打を放ち、ドラマのような展開を演出した二人。中田が負傷で戦列を離れて以降、左翼手の秋広は17日に3安打を放つなど、同日時点で打率356と好調を維持している。反対に、他の巨人の外野陣をみると、右翼には丸佳浩(34)、中堅には新外国人のブリンソン(29)がスタメンに名を連ねているが、いずれも17日時点の打率は262、250と奮わず、守備面の貢献もいまひとつだ。
打撃絶好調の秋広と負傷からの復帰を目指す中田の師弟外野コンビの誕生。坂本の一塁コンバートなどの前提条件はあるものの、単なるファンの夢物語では終わらないかもしれない。そのためにも、やはり岡本の「4番・三塁」復活が待たれる。
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