歓迎されない「天下り官僚」と高評価の「元官僚」はどこが違うのか【国交省OB人事介入の闇】
人事院を廃止しては
究極の解決策を、経営コンサルタントで複数の政府系機関の幹部や審議会などの委員を歴任してきた冨山和彦氏は「シンガポールと米国の官僚登用制度の併用と人事院制度の廃止」と指摘する。
シンガポールは小国として国力を増強し、世界に対抗するため、官僚を民間並みの破格の待遇で採用している。米国は政権が変わるごとにスタッフが総入れ替えになる背景から、先に触れたリボルビングドアが一般的だ。
かつ給与改革を含む人事院制度の廃止は大きな法律改正になるので、首相レベルの強力な支援者が必要になる。霞が関の人材改革は待ったなしの危機的状況だが、岸田政権に、また民間出身の川本裕子・人事院総裁にそこまで踏み込む胆力があるのかどうか。
「行きつくところまで行きつかないとこの国は変わらない」と冨山氏は言う。人材難による政策の停滞や失策が表面化し、海外に追い込まれる状況になるまで、霞が関は変わらないかもしれない。その「日本的体質」が実は最も厄介な問題なのであろう。
[4/4ページ]