歓迎されない「天下り官僚」と高評価の「元官僚」はどこが違うのか【国交省OB人事介入の闇】

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民間で輝く元官僚たち

 霞が関を出て民間業界に行き、再び出戻ってきた官僚もいる。「リボルバーの会」はそんな官僚たちのグループだ。米国では官民の人事交流が一般的で「リボルビングドア(回転ドア)」と称されることから命名、会長を金融庁の堀本善雄・政策立案統括官(局長待遇)が務めている。

 堀本氏は旧大蔵省入省後、金融庁監督局を経て財務省企画官を最後に退官、米系金融コンサルタント会社で5年間、勤務した後、金融庁が検査改革で職員を公募したのに応じ、2013年に復帰した。在籍時の実績が高く評価され、退官せずに官僚として仕事をしていた場合と同じ職位での復帰だった。「民間の行動原理を知らないと、ずれた政策を講じる恐れがある。民間で収益に責任を負い、経営の厳しさを知ったことは、改めて役所で活かせていると感じる」と堀本氏は話す。

 農林水産省の課長を最後に退官し、起業した女性もいる。長野麻子氏は2022年6月に早期退職、森林利用を考える株式会社モリアゲ(東京)を設立した。林野庁木材利用課長を経験したことで、「残りの人生を森に使いたい」と退職、現在は経験を生かした講演活動や各種アドバイスに忙しい。

 官と民をつなぐ仕事は意外に多いという。「官と民、森と街をうまくつなぎ森を盛り上げていきたい。さらに自由な働き方や好きな場所で働ける選択肢が広がったら楽しいと思う」。長野さんは現在、月の半分を地方の森で過ごしている。もはや終身雇用、フルタイム前提ではない自由な労働環境が大切なのかもしれない。

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