東京郊外にある大物次官の行きつけのスナックで人事を密談、子飼いをゴリ押し…【国交省OB人事介入の闇】
「老害」と呼ばれるケースも
霞が関でよく話題になるのは、信用組合の業界団体である全国信用協同組合連合会(全信組連)の内藤純一理事長だ。旧大蔵省出身で、金融庁の総務企画局長、東海財務局長などを経て退官後、2011年から10年以上も理事長職にある。
異例の長さだが、これは「自分自身で内規を書き換え、任期を無期限にしたため」(財務省OB)という。最近では長期政権による業務の停滞が指摘されるようになっている。信組連の会長は信用組合から出ているが、現場からの不満が漏れるようになったという。
もう一例は損害保険会社の業界団体である日本損害保険協会の牧野治郎特別顧問だ。旧大蔵省出身で、国税庁長官を務め、退官後は2008年から2021年まで副会長の職にあった。
慣習として損保協会は、会長を損保会社から出し、副会長の1人を官僚OBが務めてきた。2021年には副会長に元国税庁長官の星野次彦氏が就任したが、牧野氏は業界の実力派として残留したという経緯である。
だが「性格が緻密な星野氏と、昔ながらの官僚で豪快な牧野氏ではそりが合わない。牧野氏は退任すべきだった」(財務省OB)、「牧野さんがいるために改革が進まない」(金融庁OB)との指摘がある。こちらもある種の「老害」だ。
優雅な天下り生活
顧問に就任した官僚OBの毎日とはどんなものなのか。数年前、さる大手企業の顧問に就任した経済官庁出身のOBと夕食を共にした時のことだ。都心のレストランで午後5時半からという早いスタートの会合だったが、普段はよろず相談に応じ、定例会議に出席する程度の仕事で総じて時間があるという。
責任ある立場での仕事はなく、ヒマを持て余している様子がうかがえ、力を発揮できていない風であった。だが企業に対する官僚然とした「上から目線」が抜けていない風でもあった。この姿勢を捨て、自分自身がどう企業に貢献できるかを考えていかないと、今後も難しいのではないかと、僭越ながら感じた。
ここまでを読んだ方は「やはり天下りは悪だ」と思われることだろう。ただ、そこまで話はシンプルではない。
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