東京郊外にある大物次官の行きつけのスナックで人事を密談、子飼いをゴリ押し…【国交省OB人事介入の闇】
官僚OBは「役立っているのか」という根本的な問題
そして空港施設の人事だが、前社長の甲斐氏は国交省航空局次長、日本政策投資銀行(DBJ)常務、内閣府総合海洋政策本部事務局長を最後に退官した後の2019年に就任した。だがコロナ禍に伴う経営不振の責任をとる形で、2年で退任した。実際は社内での「パワハラ」が内部通報制度により発覚しての退任で、「空港施設は上場した立派な民間企業なのに、国交省の役人のままの立ち居振る舞いが問題になった」(Foresight4月14日付)という。
実は同じような事態は、甲斐氏のDBJ在任中にも起きていた。航空局次長からDBJ常務への転身は、傍から見れば大変に恵まれた天下り人事である。だが甲斐氏は航空局長に昇格できなかったことが不服で仕事に身が入らず、その姿勢に行員たちから不満が続出。
甲斐氏が「国交省に帰りたい」と本田氏に泣きつき、内閣官房のポストを得た後に空港施設に天下った、という経緯がある。だがDBJ時代と同じ官僚然とした振る舞いもあって、空港施設が国交省OBに「NO」を突き付けたのは時代の流れでもあったろう。
官僚OBが退官後、顧問やアドバイザーの役職で民間企業や弁護士事務所に転身し、よく言えば霞が関とのパイプ役、悪く言えば業界の「用心棒」的存在となるのは、かつては「天下り」の名のもとに普通に行われていた。だが企業のガバナンスの変化で、民間企業と霞が関の力関係も、先の空港施設のように変化してきた。
そもそも官僚OBが役立っているのか、という根本的な問題がある。指摘されるのが「老害」だ。官僚の立ち振る舞いを変えられず、過去の栄光にしがみつく姿勢に代表される。
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