東京郊外にある大物次官の行きつけのスナックで人事を密談、子飼いをゴリ押し…【国交省OB人事介入の闇】

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人事は夜のスナックで

 元国土交通省次官の本田勝・東京メトロ会長は、旧運輸省出身で現役およびOBの人事に大きな影響力を持つ。官邸と永田町に太いパイプを持ち、二階俊博氏、菅義偉氏、古賀誠氏と親しいとされる。

 本田氏の行きつけの東京郊外のスナックに、官僚やOBが夜な夜な集い、人事や政策に関する様々な密談が行われていたのは知る人ぞ知る事実であった。その一例が2016年の国交省の次官人事だ。複数の統合官庁である国交省の次官人事はそれまでは旧建設省、技監(旧建設省の技術系トップ)、旧運輸省の3組織の出身者が1年ずつ交代制で就任するのが慣習だった。この年は旧建設省出身者に順番が回ってくるはずだったが、就任したのは旧運輸省出身の武藤浩氏だった。これは本田氏の、官邸と永田町に周到な根回しを行った「裏技」によるものとされている。

 こうした事情を踏まえれば、今回の空港施設に対する人事介入は、驚くようなことではない。おそらく、ひと昔前であれば公にならないで済んでいただろう。だが時代は変わり、国交省の人事介入を不快に感じた企業側も黙って従うわけではなくなった。漏洩した会議の音声からは、山口氏による露骨なポスト要求に対して「なぜ人事に介入されるのだ」という強い不満が同社内にあったことが伝わってくる。

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