サミットで提供されるお好み焼き 屋号に“ちゃん”がつく店が多い“戦後ならでは”の理由とは
サミットに華を添えるといわれる「ファーストレディー外交」。今回その中心となるのが、岸田総理の妻・裕子夫人(58)である。
初日には各国首脳の配偶者との茶室体験が予定されており、原爆被害を免れた貴重な建物で行われる。裕子夫人は、裏千家の家元・千宗室に認められなければ名乗れない「宗」の一字をとった「宗裕」という茶名を持つというが、お点前のほどはいかに。
茶道裏千家淡交会の地元支部に尋ねると、
「お母様の影響で茶道を始められた裕子さんは、形見の着物を大事にされて“この帯も母のものなんです”と話していました。昨年5月にバイデンさんが来日された際も、相手が誰だろうと見事な所作でお茶をたてられていましたね」
屋号に“ちゃん”がつく理由
さらに2日目の昼食会では、広島のソウルフードであるお好み焼きが供される。
終戦直後、貴重な小麦粉を多く使わずとも、キャベツを大量に入れ重ね焼きし、腹持ちのする焼きそばを入れる文化が育まれた。
広島市内の人気店「お好み焼 もり」に聞くと、
「戦争でご主人を亡くした女性たちが、子供を育てる糧として軒下などで作り始めたのが発祥と聞いています。今でも“みっちゃん”とか屋号に“ちゃん”がつく店が多いのは、戦地から帰った旦那さんがすぐ分かるようにとの願いもあった。海外の方には、そういう歴史も知ってもらえたら」
実際のところ、お好み焼きは異国の人々に受け入れられるものだろうか。
サミット取材の下調べに余念がないというデーブ・スペクター氏はこう話す。
「まだ海外で知名度はないけど、鉄板焼きは有名だし、味付けもテリヤキソースに似ているから外国人は大好きだと思うよ。戦後の日本で生き抜くための工夫が必要だった時代、そうしたアイデアが生まれたのは日本人の柔軟性が伝わる話だし、是非とも伝えてほしいよね」
日本の食体験から被爆地の歴史を伝える使命が、裕子夫人には課せられている。