「やった方は暴行じゃなく指導のつもり」 現役力士が告発した凄絶イジメ、部屋の責任者・陸奥親方の言い訳とは

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懐柔に動いた花籠親方

「しばらく音沙汰がなかったのですが、4月20日に突然、おかみさんが部屋の皆の前で“4月25日にヒデの断髪式を行うことになった”と発表しました。おかみさんからの発表の翌日、自分は相撲協会コンプライアンス委員会の青沼隆之弁護士に電話しています。兄弟子の大日堂さんが“こういうのがあるからかけてみろ”とコンプラ委員会の直通電話を教えてくれたのです」

 青沼弁護士は霧の富士による暴行について、

「“聞いていない”と言い、“協会で議題にすることもできるけどどうする?”と聞かれたので“やってほしい”と。すると同じ日に協会のコンプラ・危機管理担当理事の花籠親方が部屋に電話してきて、“協会まで来てくれ”と言われ、両国国技館内の会議室で話をすることになりました。そこで彼は、なんとか霧の富士を穏便に辞めさせてあげたい、といった趣旨の話をしてくる。“協会で正式な問題として取り上げたくない”とはっきりとは言わないものの、そんな感じのことを言ってくるのです」

 例えば、

「“断髪式なしで懲戒処分にすることもできるが時間がかかるかもしれない”“暴力の程度によっては出場停止くらいの処分になるかもしれない”といったことを花籠親方は口にしていました。また、“俺が部屋内のけんかとして話し合いで決めたらどうだと言ったんだ”とも言っていました」

下の力士は誰も断髪式に参加せず

 安西が青沼弁護士と電話で話した後、花籠親方が懐柔のために動き出す。少なくともこの時点では、協会トップの八角理事長も事案の概要を把握していた、と考えるのが自然だろう。ちなみに陸奥親方と花籠親方は先述した通り仲が良く、

「国技館で協会の仕事が終わった後、毎日のように一緒に帰ってくる。しょっちゅう食事にも行っています。そんな二人なので、“けんかというストーリーにして、事件をなかったことにしよう”と話し合っていたとしてもおかしくない。ただ、自分としてはけんかではなく一方的に暴行されていたわけですから、当然、そんなストーリーに納得できるはずはありません」

 4月24日、再び安西と花籠親方の話し合いがもたれたが、そこでも同じような話の繰り返しとなり、結局翌25日、霧の富士の断髪式は部屋で行われた。

「自分は断髪式には出ていませんが、後援会の主要な人は参加し、1階の土俵でハサミを入れていったようです。親方は部屋の力士にも“ハサミを入れたい人は降りてこい”と呼びかけたらしいのですが、霧の富士より下の力士は誰も参加しなかった。霧の富士は自分以外の弟弟子にも暴力やイジメを働いて嫌われていましたからね……」

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