「藤浪晋太郎」の勝利を呼び込んだことも?グラウンドに乱入した“珍客騒動”

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阪神の勝利を呼ぶ“虎猫”

 甲子園にイタチ、猫が現れた試合で、いずれも阪神が勝利しているのは、不思議な偶然と言えるが、実はホームゲームのみならず、ビジターの試合でも“勝利を呼ぶ虎猫”を招き寄せている。

 2017年4月13日に横浜スタジアムで行われたDeNAs戦、先発の藤浪は8回まで1失点に抑えたが、味方打線も井納翔一に5回まで無安打と沈黙し、6回に原口文仁のタイムリーで1点を挙げただけ。

 8回を終わって1対1。藤浪の好投も報われずに終わりそうな雰囲気も漂いはじめた9回無死一塁、打者・梅野隆太郎がカウント2-0のときに、思わぬハプニングが起きる。

 一塁側にグレーの毛に黒の虎柄模様の猫が現れ、試合が一時中断。虎猫は気ままにグラウンドを駆け回ったあと、カメラマン席に飛び込み、そのまま逃げ去った。

 そして、この“虎猫騒動”が、膠着した試合の流れを一気に変え、阪神に勝利をもたらす。梅野の捕前バントが幸運な内野安打となり、藤浪の代打・荒木郁也の犠打で1死二、三塁とチャンスを広げたあと、高山俊、上本博紀の連続タイムリーなどで4対1と勝ち越したのだ。その裏を守護神・ドリスがピシャリと抑えて、藤浪にシーズン初勝利をプレゼントした。

 藤浪は前出の広島戦ではイタチ、DeNA戦では虎猫と、登板した試合で1度ならず動物の乱入事件に遭遇し、いずれも勝ち投手になっているので、動物たちは藤浪にとって“幸運の使者”と言えそうだ。アスレチックス入団1年目の今季は、乱調続きで苦しい日々が続いているが、はたして異国のグラウンドでも“勝利を呼ぶ珍客”にめぐり会えることができるか。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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