「大谷翔平」を毎週報じる女性週刊誌 セレブ感、羽生結弦との共通点…60代以上”女性読者”の目線とは
第四の柱
一方、この時点で少し異なるニュース判断をしたのが女性セブンだ。3月16日号から大谷に関する記事のラッシュがスタートするのだが、この時点で焦点を合わせていたのはサンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有(36)だった。
3月23日号のグラビアも最初の1枚は大谷とダルビッシュの2ショット。さらに名物ルポルタージュとして知られる「新・われらの時代に」では、「大谷翔平 ダルビッシュ有 『日の丸は背負わない』天才が見る景色」とのタイトルで2人の比較を7ページにわたって掲載した。
「それが3月30日・4月6日号から誌面が変わります。まず『大谷翔平 奮い立たせる「母との約束」「26才で結婚と28才で子供」信念』の記事を掲載し、大谷さんをメインに紹介する記事を掲載しました。さらに、グラビアでも大谷さんの写真を大きく扱い、いわゆる“大谷フィーバー”を意識した誌面構成にしたのです」(同・記者)
ここで改めて3誌の記事を振り返ってみよう。女性自身と週刊女性の3月21日号から5月23日号、女性セブンの3月16日号から5月25日号を数えると、全部で24冊。掲載された記事は45本だった。1冊に1・875本の記事が掲載された計算になる。
「現在も女性週刊誌の3誌は、『大谷さんはグラビアで1本、記事で1本、合計2本』という構成が多いです。そのため1・875本という数字が出たのでしょう。驚くべきは、毎号のようにグラビアに大谷さんの写真を掲載していることです。女性週刊誌のグラビアといえば、皇室、ジャニーズ、そして羽生結弦さん(28)が三本柱でした。ところがWBCが終わっても、大谷さんは“第四の柱”として扱われています」(同・記者)
26歳で結婚、28歳で長男誕生
大谷を写真で愛でたい──どれほど60代の女性が大谷に夢中か、女性週刊誌のグラビアが雄弁に物語っていると言えるだろう。
もちろん記事の方向性も一般週刊誌やスポーツ専門誌とは異なる。試合内容、ピッチングとバッティングの評価、トレードやFAの予測……といった野球に関する記述は皆無と言っていい。
3誌とも「人間・大谷翔平」を報じることを中心に据えている。先にタイトルだけ紹介したが、女性セブン(3月30日・4月6日号)の「大谷翔平奮い立たせる『母との約束』『26才で結婚と28才で子供』信念」の記事は、代表的なものの一つだ。
「4ページの特集記事は、まず大谷さんのお父さんとお母さんがどのような人物だったのかを紹介しています。その次は“大谷少年”のエピソードです。小学校1年生の時に好きなスポーツを聞かれ平仮名で『やきゅう』と書いたエピソードは、アンケート用紙の現物写真も誌面で紹介する力の入れようです。こうした細かいディティールを積み重ね、大谷少年がどのようにして成長したかを辿ったのです」(同・記者)
「大谷家」に対する関心も高い。女性セブンの記事には両親だけでなく祖父も登場、両親のために実家を建て替えようとした孫に対し、次のように浪費を諫めたという。
《両親も元気で家もまだ古いわけでもないんだから、そんなふうにお金を使うもんじゃない。ちゃんと貯めておきなさい》
また、姉夫婦と大谷の仲が非常に良好であると触れるのも、女性週刊誌的な視点と言えるかもしれない。
ちなみに、タイトルにある結婚と出産は、高校3年生の時に大谷が書いた「人生設計ノート」が出典だ。《26歳で結婚》、《28歳で長男誕生》と書かれていたという。
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