小林誠司、中日とのトレード「消滅」もくすぶる火種 “原続投”なら移籍は「不可避」と専門家の声

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小林の強肩とリードがかすむ大城の強打

 プロ野球巨人の小林誠司(33)が開幕からベンチを温める日が続く。2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表で、19年のプレミア12では金メダル獲得に貢献した。NPB屈指の強肩捕手ながら、原辰徳監督が就任以降、指摘してきたように攻撃面がネックで、今季は打撃で進境著しい大城卓三(30)が正捕手に定着したカゲで完全に働き場所を失った。複数年契約は今季限りで終了。原監督が3年契約3年目の来季も指揮を執るなら今オフの移籍は「不可避」と取り沙汰されている。

 小林は5月4日のヤクルト戦(東京ドーム)で4月14日以来となる先発マスクをかぶった。これが実に今季2度目。ただ、このスタメンも出ずっぱりの大城の負担を軽減させる措置だった。

 今季は長年、バッテリーを組んできた同学年の菅野智之が開幕から出遅れた。小林は専属捕手としての出番もなく、影は薄くなる一方である。

 もともと原監督の小林への評価は極端に低かった。一部では「小林待望論」が根強かったものの、大城が5月15日現在で打率3割、5本塁打と好調の現状では、それも聞こえてこなくなった。

 元NPB球団監督はこう指摘する。

「セ・リーグはDH(指名打者)制がない。小林が8番に入ると、9番の投手とともに相手チームには2死を計算させることになり、下位打線から上位につなげる攻撃は難しくなる。小林の強肩とリードの経験は魅力だが。今季の巨人は投手陣が振るわず、打線がより点を取っていくしかない。5月になって中田(翔)が故障で離脱し、大城は5番に上げるほど打線で重宝している。疲労の蓄積は心配だが、高校、大学の後輩だからということを割り引いても原監督が小林より大城を優先するのは仕方ない」

小林の微妙な立場を見透かす他球団

 プロ入り前、神奈川・東海大相模高、東海大などを歩んだ大城は、原監督直系の後輩に当たる。強打が持ち味で入団時から「打てる捕手」として阿部慎之助(現ヘッドコーチ)の後継者としての期待が高かった。19年は持ち前の打力で一塁手としても出場。20年には小林の故障による長期離脱があり、1番手捕手の座に就いた。

 昨季は115試合に出場し、打率2割6分6厘、13本塁打、43打点の好成績を残した。さらに今季は開幕前のWBC参加をきっかけに大きく飛躍している。

「巨人は(昨オフに)西武から森(友哉=オリックス)がフリーエージェント(FA)宣言した際に獲得を目指したが、失敗して良かったのではないと思える。森が入っていれば大城は控えに回っていたわけだから、今の活躍はなかった」(元監督)

 一方、小林は20年から年俸1億円で4年契約を結ぶ。だが、年々厳しくなるチーム内での立場を見透かされ、他球団とのトレードの噂は絶えなかった。

 複数のNPB関係者によると、実は昨オフ、レギュラー捕手の木下拓哉に続く捕手の補強を狙っていた中日がトレードによる小林獲得を進めていたという。

「同一リーグで、親会社が同じ新聞社の両球団のトレードは異例。巨人側の感触が悪く、結局、中日は加藤(匠馬)を無償トレードで獲ることになったが、あわよくば出してくれるのではないかと思わせるほど、巨人での小林の立場は微妙。原さんがいる限り、上がり目はないだけに今オフには去就問題が再浮上するとみている」(セ・リーグ球団編成担当)

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