女子レスリング・川井友香子が68キロ級へ階級変更 減量苦ではない事情を金浜コーチが語る

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待ち受ける68キロ級の強豪

 そんな友香子が挑む68キロ級では、今年3月、リオデジャネイロ五輪金メダリストの土性が引退を発表したとはいえ、昨年の世界選手権65キロ級の優勝者・森川美和(23=ALSOK)、68キロ級2位の新鋭・石井亜海(20=育英大)、さらには72キロ級3位の古市雅子(26=自衛隊体育学校)という強豪が待ち受けている。とりわけ森川は、日体大時代の2020年3月に土性とのプレーオフに敗れて東京五輪代表を逸して臍(ほぞ)を噛んでいる。雪辱を期して現在、パリ五輪に賭けているが、そこに華やかな脚光を浴びてきた友香子が下の階級から乗り込んできたのだ。

 レスリングのパリ五輪代表選考はこうなっている。大会2年前の12月の全日本選手権と、1年前の6月の全日本選抜選手権を共に制すれば世界選手権に選ばれるが、優勝者が割れればプレーオフ。世界選手権で3位以内に入れば五輪確定となるが、入らなかった場合はプレーオフとなる。ちなみに、当初ロシアでの開催が予定されていた今秋の世界選手権は、ロシアのウクライナ侵攻によりベオグラード(セルビア)に変更されている。

 来年7月に始まるパリ五輪では当然、「連続姉妹優勝」が期待されるが、その舞台に上がるまでも生易しい道程ではないだろう。
(一部、敬称略)

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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