実はロシア経済は意外と堅調、それに比べ欧州経済はかなり深刻…経済制裁の代償という皮肉

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欧州発の金融危機は起きるか?

 米国では銀行破綻が相次ぎ、金融不安が広がっているが、筆者は「欧州はそれ以上に深刻な状況にある」と考えている。

 足元のインフレ率が米国よりも高く、各国で大規模なストライキが頻発していることから、賃上げがもたらす物価の上振れリスクが生じており、欧州中央銀行(ECB)は今後も利上げを継続せざるを得ない状況となっている。

 欧州の銀行も米国の銀行と同様、利上げの環境下で利ざやが悪化するなどの逆風にさらされている。ECBが5月2日に明らかにした調査結果によれば、ユーロ圏の銀行は今年第1四半期に予想以上に融資を抑制した。

 米国では商業用不動産向け融資の焦げ付きが始まっているが、欧州でも同様の事態となるのは間違いないだろう。

 S&Pグローバルは5月8日、多額の債務の借り換えに苦戦しているスウェーデンの商業用不動産保有会社SBBをジャンク級に格下げした。ユーロ圏でも不動産バブルの崩壊が始まっているが、問題なのはユーロ圏には米国のような破綻銀行を救済するメカニズムが十分に備わっていないことだ(5月4日付ZeroHedge)。

 欧州はウクライナ戦争によって驚くほど高い代償を払うことになってしまうのかもしれない。欧州発の金融危機が起きないことを祈るばかりだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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