維新が推進するIR、埋め立て地にアスベストが潜む可能性 ろくに調査がされていない現状
ロクに調査していない
それこそまさに浚渫土砂が絡むケースで、
「埋め立てに用いる場合は“造成のための材料”と見なし得るから“廃棄物”には該当しないという位置付けになっているのです」
早い話、夢洲には何が埋まっているかわかったものではないというのだ。先の市政関係者いわく、
「市は現時点で汚染の原因について、土砂には自然界に遍在する程度のヒ素やフッ素が含まれているだけだと説明しています。ですが過去には、国の環境基準を超えるダイオキシン汚染土が夢洲の埋め立てに使われていたと新聞で報じられたほか、PCB(ポリ塩化ビフェニール)残土を処分する際に、止水シートを張っていなかったという問題も取り沙汰されています」
汚染物質まみれでは?
「そもそも市は土壌汚染対策をするといいながら、しっかりとした調査すらしていません。土壌汚染が一部発覚したのも“地下鉄のトンネル工事をした際、少し調べてみたらヒ素などの有害物質が出てきた”といった経緯だったのですから」(前出・桜田教授)
考えるだけで怖気(おぞけ)を震うほかないのである。
一番の問題はアスベスト
桜田教授は、建設残土にはアスベストまでもが「テンコ盛り」で含まれているとみるが、「社会健康医学福祉研究所」所長で京都大学名誉教授の小泉昭夫氏に見解を聞くと、
「夢洲に埋められているゴミは、環境対策が不十分な焼却炉時代のものでしょうね。塩素系の化学物質を焼くとダイオキシンが生じ、ダイオキシンには発がん性がありますから、仮に粉塵を吸い込むと健康に害が及ぶ恐れがあります。他にも生殖毒性、つまり精子ができにくくなったり、初潮が遅れたりするなどの影響も指摘されています」
そして一番の問題はアスベストだという。
「1995年の阪神・淡路大震災で多数の家屋が倒壊した際、兵庫県在住の作家・藤本義一(ぎいち)さんが救援にあたられました。その後、藤本さんは悪性中皮腫で亡くなりました。この悪性中皮腫は、アスベストを吸い込んだ人に特徴的な病気です。震災の救援に駆けつけた方で、アスベストが原因で亡くなった例は少なくない。以前、アスベストは防火設備などの建材にごく普通に含まれていました」
かつては、アスベスト工場の近くで暮らした住民に、肺がんや中皮腫の患者が多かったともいう。
「従業員はもちろん、工場から1キロも離れたところに住む主婦も中皮腫になりました。30年ほどの曝露期間を経て発症にいたったケースもあります。空気中のアスベストの濃度は非常に低かったはずですが、こうしたことが起こりました」
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