維新が推進するIR、埋め立て地にアスベストが潜む可能性 ろくに調査がされていない現状

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際限なき負担増も

 説明が必要だろう。土壌対策費等については「港湾施設提供事業」と「大阪港埋立事業」の両事業に充てる「港営事業会計」内で処理される。一般会計予算の支出ではなく、別の財布から払うものだから新たな課税措置はない、というのが市の主張だ。しかし、

「港営事業会計で生じた儲けは広い意味で大阪市民のカネ。それが土壌対策費の名目で事業者に流れ、使い道がブラックボックスになっているとしたらどうでしょう。しかも、昨年2月に府市と事業者が締結したIRを巡る『基本協定』では事業の収益化に悪影響を与える土壌の問題について、土地所有者が“適切な措置を講じる”旨が記載されているのです。そこには地盤沈下という単語が見られ、つまり汚染・液状化対策とはまた別の理由で支出を迫られる可能性が出てきています」

 たしかに約800億円の試算には「地盤沈下」対策は含まれていない。

「夢洲は人工島で、地盤沈下の問題は将来的にずっとつきまとう。市の負担が際限なく膨らんでしまうかもしれないのです」

 この点について「夢洲カジノを止める会」共同代表の大垣さなゑ氏が言う。

「民間事業者に公金が投入されるうえ、市はお金を出すだけであとは事業者に丸投げとなると、もし事業者が“これじゃ足りません”と言い出したらどうするのか。IR事業を続けるために事業者の言いなりになることは目に見えています」

夢州自体が法律のエアポケット

 最大の懸念は、現段階で土壌汚染の度合いが不明確なことだろう。大阪市IR推進局によると、夢洲は1区から4区に分かれ、1区は産廃処分場、3区がIR予定地となっている。別々のエリアだから安全だと言わんばかりの態度を貫いてきたが、「カジノ問題を考える大阪ネットワーク」代表の桜田照雄・阪南大学教授は、こう指摘する。

「1区は産廃の処分場であるため、環境基準が一般の土地と比べて10倍もゆるい。そうしたエリアと万博予定地の2区、カジノ予定地の3区は工事用の矢板一枚で隔てられているだけ。当然、夢洲の建設現場の土壌汚染について、きちんとした調査が求められます。にもかかわらず、夢洲自体が法律のエアポケットになっているのです」

 どういうことか。

「浚渫した土砂や建設残土の環境基準を定めた『土壌汚染対策法』という法律がありますが、これは“人と接触しなければ何でも構わない”“フタをして埋めてしまえば問題ない”というルールで、事実上、何を埋めようが野放し状態でした」

 さらに、こうも言う。

「市は『海洋汚染防止法』にも基づいて、環境基準を超過したものは適切に処理したと主張しています。でも、その法律が適用除外される場合があるのです」

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