渋谷のメンズ美容室に若い女性客が殺到 “逆転現象”はなぜ起きているのか
メンズカットとレディースカットは何が違う?
石井さんによると、女性のショートカットとメンズカットの違いは、「セニング」という毛量の減らし方。またメンズカットはレイヤーを高く入れることでボリュームを抑えられる。
一方、少し長めなレディースカットでは、レイヤーを入れると根元の厚みで全体的に丸みを帯びる。この丸みが女性を可愛いらしく見せるわけだが、石井さんはメンズカットを希望する女性客からよく、「シュッとさせたい(ボリュームを抑えたい)」というオーダーを受けるという。
前髪の分け目を気にする女性も多いそうだ。レディースカットには分け目があるが、メンズカットにはあまりない。
「後ろから前髪を持ってくるメンズカットには分け目がないので、分け目を消せる髪型を探していたらメンズカットに辿りついたという女性もいます」
男性と女性では、頭の形や髪質に違いもあるが、ある程度は前髪が長く、切れそうほど髪が傷んでいなければ、どんな人もメンズカットは可能だという。
かつて男性のカットといえば、理容師がいる理容室や床屋だった。理容師と美容師では、取得する免許と施術できる内容が異なる。たとえば「顔そり」を謳えるのは、理容室か床屋だけだ。
美容師が施術する美容室が男性客主体で営業できるまでには、紆余曲折の歴史がある。2015年に厚生労働省が規制改革実施計画を通達するまで、美容室が男性に対してパーマなどなしで“カットのみ”を提供することはできなかった(同様に、理容室も女性にパーマをかけることはできなかった)。
そのため、美容室の施術メニューに「メンズカット」と記されるようになったのも最近のこと。メンズカットは技術的にも進化の途中なのだ。そこに女性が注目したのも興味深い。メンズ美容室が、新しいスタイルを生みだしそうな予感がする。