台湾で女子大生が失踪…国際犯罪組織「人蛇集團」の関与も? あまりに意外すぎる結末

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関与が疑われた「元カレ」と「今カレ」

 失踪事件をめぐる容疑者として、警察が最初に疑ったのは、Pさんの元カレのLさん(24)だった。ふたりは1年ほど交際していたが、Pさんが消息を絶つ1週間ほど前に別れていた。地元紙「自由時報」によると、別れた理由は、Pさんの新たな恋人Uさんの出現だった。

 元カレのLさんには、詐欺の前科があった。特殊詐欺に関与し、マネーロンダリング用の口座貸し出し人を軟禁、管理する役割をしていた過去があったのだ。警察の調べに、「彼女が出国したがっていたのは知っていたから『騙されるな』と伝えた」と証言したという。元カレのLさんと現在の恋人のUさんは名前を知る程度の面識があったという。Lさんのスマホには「Uさんに会いにいく」というPさんからのメッセージが残されていた。

 サイバー犯罪被害者を救済する国際NPO団体、全球反詐騙組織(GASO)が行方を追ったところ、Pさんはミャンマー北部に行ったことを突き止めた。そして出国前にPさんが、Uさんから仮想通貨テザー(USDT)で2,000ドル(約27万円)を借りていた疑いがわかったことで、疑いの目は元カレから現在の恋人にうつった。Pさんが、ギャンブル系アプリゲームで賭けごとをしていたと思われる会話をしていたことも判明し、借金の返済のためにミャンマーへ働きに出たのではないかとみられた。

 ニュースサイト「三立新聞網」が、Uさんは爽やかイケメン、そして人蛇集團がかかわった詐欺のかつての被害者だったと報じたことで、その疑いはより濃厚になった。彼はかつて組織内で、リクルートを担当させられていたという。外交部の救出者リストに名を連ねていたものの、組織から逃げることはできず、取り込まれてしまったようだ。全球反詐騙組織の調査によって、脱出に失敗したUさんは売り飛ばされ、別の組織のなかで働くことになり、これまでに3人の台湾人を騙しミャンマーに連れていったことがわかった。Pさんは4人目の被害者の可能性が高い。

新たな被害者の報告と“てん末”

 そして4月16日、新たな被害者の報告があった。苗栗県後龍鎮の女性(20)が、ネットで知り合った男に「高給だから」と海外での仕事を誘われ、Pさん同様、ミャンマー北部に連れていかれたことがわかったのだ。女性は人蛇集團によって他の組織に売り飛ばされていた。家族は地元議員に助けを求め、現地の救出団体と連携し、女性は無事に救出され、20日に帰国した。女性には持病があり、事態は一刻を争うことから、家族は仲介人に100万元(約460万円)近い額を支払ったといわれる。

 Pさんもこの女性と同じルートをたどったのか。無事に帰ってくることができるのか。成り行きに台湾中の注目が集まったが、思わぬ形で終焉を迎えることとなる。警察はPさんの失踪は人蛇集團との関連はないと断定したのだ。救出にあたった全球反詐騙組織のスタッフSammyはこう内実を語った。

「騙されて出国したのは事実だが、彼女はミャンマー北部にいることに満足していた。救出を担う関係者の説得に『Uさんが戻らないなら、私も帰らない』と答えた」

 警察も「彼氏を追ってミャンマーに向かい、自らの意思で帰国を拒んでいる」と判断した。Pさんが成人していることも考慮された。

 Pさんは母親との電話で、台湾には帰らずミャンマーに留まることを伝えているという。すでにミャンマー北部にある中国人経営者のオフィスで、事務管理スタッフとして働いているという。

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