大谷翔平、矢沢宏太の影響で“二刀流”のドラフト有望株が続々登場!

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大学球界に広がる“二刀流”

 一方、多くのリーグで指名打者制を導入する大学球界でも、二刀流に挑戦する選手が出てきている。明秀日立で春夏の甲子園に出場し、投打で活躍した石川ケニーは、進学先の亜細亜大で開幕戦の中央大との試合で4番(指名打者)に抜擢された。ドラフト1位候補の中央大のエース、西舘勇陽から先制タイムリーツーベースを放っている。

 昨年の夏の甲子園では4割近い打率を残し、140キロを超える速球で、スカウト陣の注目を集めていた。亜細亜大は、全国屈指の強豪校。そんなチームで1年春のリーグ戦から4番として活躍を見せて、いきなり話題をさらった。現時点(5月8日現在)では、公式戦での登板はないものの、今後も投球練習を継続する予定だと言われている。

 このほか、上武大4年の島村大樹、近畿大2年の阪上翔也、駒沢大1年の仲井慎らも二刀流に挑戦している。島村は大宮東出身で、プロ注目のショートとして活躍していたが、今年から投手に復帰して二刀流に挑戦している。阪上は、神戸国際大付時代に投打にわたって甲子園で活躍した。仲井は、昨年の夏の甲子園で、ショートと投手を兼任して、下関国際を準優勝に導いた。彼らもまた、大学野球で二刀流に取り組んでいる。

二刀流がプラスに働く面も

「大谷は別格としても、その後に矢沢が二刀流でプロ入りしたことは、二刀流にチャレンジする選手が増えた要因として、大きいと思いますね。矢沢は、高校時代から多少、スカウト陣の間で知られた選手でしたが、全国的には無名でした。彼が大学から二刀流に取り組み、ドラフト1位指名を勝ちとったことで、『俺もやってみよう』という考えになる選手や、選手の挑戦を後押しする指導者が出てきましたね。もちろん、プロで二刀流として成功できる選手は多くないと思います。ただ、早い段階で可能性を狭めるのではなく、二刀流をやってみることでプラスになることはあるはずです。こちらもすぐにどちらと決めつけないようにしないといけないですね」(パ・リーグ球団スカウト)

 矢沢も大学で投手としてのトレーニングを積んだことで脚力がアップし、それが野手としての評価を高める要因になったという。最終的にはどちらかに絞ったとしても、そういった経験がプラスになる面は確かにありそうだ。

 大谷と日本ハムがまいた種があらゆるカテゴリーに広がって、投打両面で花を咲かせる選手が次々と出てくる。そんな未来は“夢物語”ではないのかもしれない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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