大谷翔平、矢沢宏太の影響で“二刀流”のドラフト有望株が続々登場!
一軍での二刀流デビューも
大谷翔平(エンゼルス)の活躍によって野球界に大きな変革をもたらしたものと言えば、やはり“二刀流”だろう。MLBでは、昨シーズンから先発投手が降板後も指名打者として出場し続けることができる、いわゆる「大谷ルール」が適用されるようになった。今年3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも、「大谷ルール」が採択され、大谷は、投手と指名打者の両部門でベストナイン(オールWBCチーム)に選ばれた。NPBでもこれにならい、今シーズンから「大谷ルール」が適用されている。【西尾典文/野球ライター】
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大谷という球史に名を残す選手の出現によって、野球のルールも変わったことになるが、その影響は他の選手にも及んでいる。大谷がメジャーに移籍する前に所属していた日本ハムでは、上原健太が昨年から二刀流に挑戦している。打者では5打席に立ったのみで、投手としては、キャリアハイとなる25試合に登板し、3勝5敗、防御率3.60という成績を残している。
また、昨年のドラフト1位で、ルーキーの矢沢宏太も、日本体育大時代には、大学球界で異例となる二刀流で活躍していた。今季は、外野手としてスタメンに名を連ねている。5月8日現在で、一軍戦の登板はないが、同2日に行われた二軍の西武戦で二刀流デビューを果たした。4回に2番手で登板し、1回2失点という結果だった。この日は、デーゲームの二軍戦で登板し、その後ナイターの一軍戦に合流する“親子ゲーム”となった矢沢。一軍での二刀流デビューも近そうだ。
投打両面で「一級品」
二刀流のプレーヤーは、近い将来プロ入りを目指す有望選手にも広がってきている。今春、ドラフト候補として浮上してきた、山形中央の左腕・武田陸玖はその代表格だ。
甲子園出場経験はなく、知名度は全国区とはいえない。しかし、昨年秋の東北大会では、準々決勝の東北戦で140キロ中盤のスピードをマークしたほか、初戦の専大北上戦でホームランを放っている。投打の高い能力が認められて、今月初旬に行われた、「U18侍ジャパン」候補の強化合宿に召集された(※U18W杯は今秋開催される見込み)。「U18侍ジャパン」を指揮する馬淵史郎監督(明徳義塾監督)は、武田について、投打両面で「一級品」という高い評価を与えている。
武田は左投左打。身長174cm、体重77kgと体格は大きくはないが、ストレートは最速147キロを誇り、キレがあるスライダーが武器だ。また、抜群のパンチ力を持ち、高校通算本塁打は20本を超えているという。
前述した強化合宿で実際に初めてプレーを見たという、セ・リーグ球団スカウトは、武田をどう分析しているのか。
「(今年のドラフト候補でいえば)高校生サウスポーでトップクラスですね。球速は、コンスタントに140キロ中盤が出ますし、制球力も安定しています。(強化合宿で)いい投手だなと思ってみていたら、打者としても凄いスイングをしていました。(投打両面で)本当に能力が高いですね。(各球団のスカウトによって)投手でいくか、野手でいくか、と意見が分かれると思いますが、“二刀流”という話が出てきても全くおかしくないでしょう」
武田自身も二刀流でのプロ入りを目指す考えを明らかにしており、今後の動向に注目が集まりそうだ。
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