上沼恵美子が激白した「離婚しなくてよかった」理由とは? 3年前の“どん底”を救った夫の存在
責任と刺激は紙一重
夫婦というのは本当に難しい。子どもという共同作品がおると言うたってしょせんは赤の他人です。それでも子育てがある間は協力し合える。ところが、子どもが独立すると、何十年ぶりかに二人だけになる。そうなったら犬だけが頼りや。その時にしみじみと「何でこんな人と結婚したんや」と危機がやってくるわけです。ちょうど夫の定年も重なったりするから最悪です。
うちの主人は61歳のときに勤めていた関西テレビを辞めました。もうちょっと働くんかと思うてたら「これからは趣味に生きる」。その宣言通り、俳句の会に入ったり、陶芸始めたり、ゴルフに能面づくり、絵画、ウクレレ……。定年後に始めた趣味は20以上になると思います。
ウクレレなんて日がな一日、シャン、シャン、シャン。歌う人がおらな何の曲かも分からないんです。本人は機嫌よくやってますけど、趣味は趣味。仕事と違って責任がありません。責任と刺激は紙一重ですから、仕事を辞めてしまった主人は目の輝きがなくなった気がします。私は「小さなライブハウスでいいからウクレレの発表会でもしたらどうですか」とそこまでお膳立てしました。夫が「ゲストは恵美子や」言うから、私も出て行ってね。
俳句かてそう。主人が「今月はなんとかがテーマや」とウンウンうなってる。私が「こういうのはどうです?」って提案しても「そういうのはダメなんだよ」。でも、後日送られてきた会誌を見たら、しっかり私の俳句を使ってるんです。
そんなんじゃ面白くないでしょう。山登りは自分で歩いて頂上に旗を立てるから「やったー!」や。ヘリコプターでホイッて頂上に降ろされても面白ない。退職した主人を見ていて、私は絶対に仕事を辞めないでおこうと思ったんです。
どん底のとき、主人だけはそばに
3年前、関西テレビから不義理をされて長く続いた番組を降板しました。ニュースにもなりました。ホンマに腹が立ちました。辛くって何もかもやめてしまおうと思いました。
そんなどん底で、周りにいる人たちは“上沼恵美子は終わった”ってどんどん離れていった。裏切りもあった。でも、主人だけはそばにいてくれました。
「恵美子、辛抱するんだよ」
「裏切りって怖いよね」
そんな気の利いた言葉はもちろんありませんよ。ただ、おるだけ。それどころか、そんな状況でも私はこの人のためにご飯作らなあかん。邪魔くさいと思うけど、でも、その邪魔くささが寂しさを埋めてくれたんかも分かりません。
今は離婚しなくてよかったってしみじみ思います。もちろん離婚を切り出したことは間違っていなかった。あれがなければ、未だに腹立ってたと思いますから。
夫は確かに悪い人ではありません。団塊の世代で明治男より頭が固い。だから「愛してる」はおろか「ありがとう」もない人ですが、酒狂いでもないし、DVも浮気も別にないんです。でも、世間の人もそんな分かりやすい理由だけで離婚してませんわ。何十年の積み重ねで「一緒の空気を吸いたくない」となるんです。
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