日本人投手にはマネできない…DeNA「バウアー」の独特過ぎる練習法に若手は羨望の眼差し

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もっと相手を知り、学ばないといけない

 快勝の次の試合は大炎上――この落差こそが、逆に魅力なのかもしれない。

 2020年サイ・ヤング賞投手、トレバー・バウアー(32=DeNA)が来日2度目の先発となる5月9日の巨人戦(HARD OFF ECOスタジアム新潟)で、まさかの3被弾を浴び、6回11安打7失点で初黒星を喫した。

「DeNAの南場智子オーナー(61)の地元が新潟県。この日はオーナーも観戦しており、“御前試合”になることはバウアーにも伝えられていました。まさかそれで緊張したわけではないでしょうが」(スポーツ紙記者)

「直球、変化球ともに高かった」というのが、プロ野球解説者たちの声。その通りではあるが、試合後のバウアーのコメントはもっと深かった。

「球種の選択、投球の精度、向こうのゲームプランが勝った。この3つが合わさると、自身にとって、良い結果にはならない」

 さらに、今後にむけて改善点にも言及。

「(巨人打線に打たれた)11安打のうち、変化球がほとんど。アメリカでのスタイルを続けているが、今は違うリーグ。もっと相手を知り、学ばなければいけない。この打者には何が有効なのかなど、もっと…」

機械工学を学んだインテリ

「初登板の広島戦もそうでしたが、登板に向けて徹底したコンディション作りと相手チームの研究に時間を割いていました。そして試合直前までアナリスト、スコアラー、先発マスクの伊藤光(34)とのロングミーティングを行い、打者の1巡目は自分からサインを出すなど、詳細なゲームプランを立ててマウンドに立っています」(チーム関係者)

 MLB時代に輝かしい実績を積み上げてきたバウアーだが、練習方法も独特で、学生時代から「身体能力の低い自分が、150キロ超のボールを投げるにはありきたりな練習法ではダメなんだ」と言って、各地のトレーニング施設を巡ってきた。その研究熱心さはインディアンス(現・ガーディアンズ)時代の2015年以降に開花するが、

「もともと彼は、カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)で機械工学を学んだインテリですよ。MLBと日本プロ野球では公式球が異なるのは有名ですが、彼は早く馴染むためだと言って、日本のボールを真っ二つに切断し、構造から勉強したと話していました。日本のボールを操るため、お箸で食事できるようになっているほどです」(前出・同)

「変人」「物理オタク」などの有り難くない異名で呼ばれているのは、発想や着眼点が読めないからだが、バウアーのピッチングの極意は周到な「準備」にあるようだ。

「練習では左中間のいちばん深いところからライトポールに向かって、遠投をします。ピッチング練習での一球目は、ピッチャーズプレート後方から助走をつけてのスローイングです」(米国人ライター)

 ルーティンも持っている。DeNAの二軍施設・横須賀スタジアムでは左腕にApple Watchをつけて血圧、脈拍数をチェックしながら練習していた。ウエイトトレーニング・ルームに入れば、アプリを作動させ脈拍数を計測。トレーニング中に出した数値も入力し、また、ブルペン投球中も人や物の動きを記録するアプリを作動させ、最後はさまざまな機器で記録したデータを見て、翌日以降の練習メニューを作成する。

 初登板から2戦続けてバッテリーを組んだキャッチャーの伊藤は、「他の選手たちからは見えないところでの、取り組みが凄い」と驚いていた。当然、ベイスターズの若い投手たちは羨望の眼差しでバウアーの練習を見つめ、質問もしていた。この一連の様子を見ていたチーフ投手コーチの斎藤隆(53)も、

「オレが100回言うより、バウアーが1回言ったほうが選手は聞くから」

 と笑っていたほど。

「キャッチボールの相手を務めた育成選手には自ら歩み寄って、アドバイスを送っていました」(スポーツ紙記者)

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