NHK「のど自慢」 番組責任者が明かす“予選会の知られざるカラオケ活用法”

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搬入するカラオケは2台

 この稿では予選会や日曜の生放送で、どうやってカラオケマシーンが使われているのかを具体的に紹介したい。

 また、4月から「のど自慢」の司会は、廣瀬智美アナ(41)と二宮直輝アナ(38)の2人が隔週で担当することになった。

 初放送から77年という超長寿番組で、2人体制も初めてなら、女性アナが司会を担当するのも初めてだ。このリニューアルの狙いについても中村氏に訊いた。

「予選会には往復葉書やWEBなどで応募が可能で、総数は1000人台に達します。2人や3人での応募も多いので『組』が単位になります。私たちは“出演動機”を丹念に読み、200組に絞ります。この時点で200組が歌う曲のリストも完成します。予選会は本番と同じ会場で開かれ、カラオケシステムは予備を含めて2台を搬入します」

 200組の出場希望者は1番から200番までの番号が振られ、50組ずつ4つのグループに分けられる。

「1番から順々にステージへ上がり、日曜の放送と同じように『1番、ああ上野駅』とか『120番、うっせぇわ』などと、番号と曲名だけを私たちに伝えてもらいます。曲をリスト化する時点で、曲の番号も調べます。皆さんがカラオケボックスで入力するものと同じ番号です。担当者がカラオケ機器を操作し、次々に音源を流します」

イントロの問題

 歌う時間は1組につき1分。そこで問題になるのはイントロが長い曲だ。曲の冒頭からきっちり1分間というのが予選のルールだ。そうしないと予選会の進行が停滞してしまう。

「中島みゆきさんの『糸』はイントロが40秒あります。40秒を超える曲も珍しくありません。予選会でバンドが演奏していた時代は、イントロの長さを自由自在に調節することができました。カラオケにも“イントロスキップ”という機能がありますが、かなり歌の直前に飛ぶので、びっくりして歌えない方も多いんです。そのため『この曲はイントロが長いので、歌う時間を長くしたければ飛ばすことができます。うまく歌えなかった場合はやり直すことができます』と説明し、スキップするかどうか選んでもらっています」

 普通、カラオケ音源には「ガイドメロディー」が流れる。ボーカル部分をキーボードなどが演奏し、素人でも歌いやすくしているのだ。

「カラオケには“ガイドオフ”という機能があるので、予選会でも本番でもオフにしています。コーラスもオフです。『のど自慢』は歌のコンテストという側面もあるので、歌の巧さも重要な選考要素の一つです。そこでカラオケをシビアな設定にし、皆さんの歌唱力を丸裸にするのが狙いです」

 バンドからカラオケ音源に変えたことで、予選会の進行がスムーズになったという。

「ミュージシャンの方も安定した演奏するために、休憩が必要です。今でも50組ごとに休憩を挟みますが、どれだけ演奏してもカラオケは疲れません。休憩時間が短くなったことで、出場希望者の皆さんをお待たせすることも減りました」

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