「元祖・一文字隼人」佐々木剛が明かした「シン・仮面ライダー」への複雑な思い 「俺らは低予算で、命懸けだった」

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「楽でいいなと」

 そんな佐々木氏、招待券が送られてきたので、封切り早々映画館に足を運んだという。感想を伺うと、

「まあ……別物だと思ってます」

 と渋い顔。

「映像技術は昔と違うし、楽でいいなと。金掛けてるなと。それにしては、客はまばらだったけど」

 特にアクションシーンがご不満だったようで、

「バイクアクションももっと見たかったね。俺らは低予算で、命懸けだった。ヘリコプターもそうそう呼べないから、時間が惜しい。命綱なしでヘリの脚につかまったら、スタッフが操縦士に“旋回!”って。本当に旋回しやがる。よく死人が出なかったもんだ」

 翻って「シン・仮面ライダ」では、ライダーたちがコンビナートの中で数十メートルの高低差を跳んだり跳ねたり。もちろん映像処理である。

「一文字とは関係ないから」

 映像処理といえば、今も続くテレビシリーズもCGだらけだが、そちらは気にならないという。

「バイクでなくクルマに乗ってるライダーもいたけどね。でも、それは一文字とは関係ないから」

 佐々木氏は「改造人間哀歌」と題する舞台シリーズの主役を演じ続けている。仮面ライダーなどの呼称は使わないが、一文字のその後を思わせる内容。彼にとって“一文字隼人”は、単なる役名でなく、人生そのものだった。

「僕は“一文字隼人”をしょってますからね」

 その言葉に、本物ライダーが偽物ライダーと戦う劇中シーンが重なった。

週刊新潮 2023年5月4・11日号掲載

ワイド特集「スティ・ゴールド」より

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