絶好調「吉田正尚」 辛口「ニューヨークメディア」もヤンキースファンの本音を紹介する“異例の扱い”

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ファンの溜飲を下げた試合

 だが、吉田が地元ボストンの野球ファンのハートを鷲づかみにしたのは、パワーと連続試合出塁の記録ばかりではない。“天敵”を打ちのめしたのだ。

 5月4日のブルージェイズ戦だった。同日の先発、ケビン・ゴーズマン(32)はスプリットを得意とする長身右腕で、レッドソックスは昨季6試合で対戦し、0勝3敗と完全にカモにされていた。

 その日、「2番・レフト」で起用された吉田は第一打席でいきなりセンター右に運ぶ先制ソロアーチを放つと、2回にはライト前、4回にはレフト前にタイムリーヒットを放ち、天敵を4回途中8失点でKOした。ゴーズマンが失点した8点のうち、3点は吉田のバットから生まれたもの。試合後、レッドソックスのアレックス・コーラ監督(47)は、

「先制アーチで(苦手意識が)吹っ飛んだ」

 と、吉田の活躍を認めていた。

 また、同試合を中継していた中継局・NESNのアナウンサーも「昨季はアンタッチャブルだったゴーズマンを小突きまわしているゼ。吉田がまた打って!」と、興奮ぎみに実況していたという。

 昨季、一方的にやられっ放しで、積もりに積もった地元ファンのモヤモヤをひと振りで解消してくれたのだ。

「天敵退治についてさらに付け加えれば、レッドソックスは78勝84敗でア・リーグ東地区の最下位でした。敗因はブルージェイズに3勝16敗と大きく負け越したためで、ゴーズマンという苦手投手を作ってしまったためです」(前出・米国人ライター)

環境にも恵まれて

 吉田は本拠地フェンウェイ・パークではレフトで、ビジターゲームでは指名打者で起用されることが多い。MLB球団との交渉が始まった際に他球団が難色を示した守備が影響しているのだが、フェンウェイ・パークはレフトフェンスが極端に前方にきている“変形球場”である。したがって、レフトの守備範囲が狭く、遠投をする必要もない。レッドソックスの野球環境は吉田に合っていたのだろう。

「開幕序盤の吉田はイマイチでした。MLBの試合前練習に戸惑ったようです。日本なら、バッティングピッチャーがストライクゾーンにきちんと投げてくれますが、MLBだと打撃コーチなどによる山なりの投球です。コントロールも悪く、届かないから正規の18.44メートルよりももっと前から投げる。それでタイミングの取り方が狂ってしまったんです。その練習にもようやく慣れてきたのでしょう」(前出・現地メディア関係者)

 レッドソックスは伝統的に打撃のチームでもある。しかし、近年は出塁率の高い1番バッターに恵まれず、得点効率も落ちていた。かといって、高い出塁率を誇るタイプも少なくなっており、吉田の4割4分7厘と高い出塁率(2022年)に目が留まった。チャンスメーカーとして獲得したのだが、試合を決定づけるクラッチヒッターにもなってくれたのは、良い意味で予想外だった。

「5年9000万ドルの契約にはビックリしましたが、今では安い買い物だったと言われています」(前出・同)

 球団公式ツイッター内にある吉田のアーチ動画には「MASHataka」とキャプションが付けられた。「mash」と、名前の「Masataka」を掛けてもので、「マッシュポテト」の「mash」だ。快進撃はどこまで続くのか。

デイリー新潮編集部

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