数字を見れば不吉な予感…アメリカ経済はリーマンショック時よりも悪化するかもしれない
FRBに対する怨嗟の声は高まるばかり
預金の安全性を心配する米国民の比率もリーマンショック時を超えている。
米ギャラップが5月5日に公表した世論調査(4月3日から25日にかけて実施)によれば、48%が「(銀行などに預けているお金の安全性について)心配だ」と回答したが、この数字はリーマンショック直後の2008年9月時点の45%を上回った。
支持政党による違いも浮き彫りになっている。共和党支持者が「心配」と回答した割合は55%と民主党支持者(36%)に比べて高く、ギャラップは「現政権への不満と結びついている結果だ」と分析している。
米サプライマネジメント協会(ISM)が5月1日に発表した4月の米製造業景況感指数も47.1となり、好不況の節目である50を6カ月連続で下回った。リーマンショック後の記録に並んだが、この記録を更新されるのは確実な情勢だ。
相次ぐ銀行破綻が引き金となって米国で信用収縮(与信環境のタイト化)が起きており、製造業の資金調達環境が近年になく悪化しているからだ。
金融システムの脆弱性が意識される中にあって、頭が痛いのは米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制を優先する政策を維持していることだ。
FRBは5月3日、0.25%の利上げを決定した。利上げのペースは1980年代以降で最速であり、政策金利は16年ぶりの水準に達した(5.0~5.25%)。
FRBは利上げの停止を示唆したものの、長期にわたって高水準の政策金利を維持する事態となりつつある。4月の雇用統計で、非農業部門の就業者数が前月から25万3000人増加し、失業率が半世紀ぶりの水準(3.4%)となったことが明らかになっており、FRBが6月の会合で11回連続となる利上げをする可能性も排除できなくなっている。
5月3日の記者会見で銀行破綻が相次ぐ現状について聞かれたFRBのパウエル議長は「我々は間違いを犯したことは十分に認識している」と述べたが、市場からは「多くの地銀が破綻に追い込まれる水準にまで利上げをしてしまった」とFRBに対する怨嗟の声が高まるばかりだ。米国の金融システムの専門家も「4800に上る米銀の半数が破綻する.可能性がある」と警告を発している(5月7日付ZeroHedge)。
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