銀座「ロレックス」強盗、大胆すぎた少年たちの末路 元刑事は「親に1億円超の損害賠償も」
素人が換金することは不可能
まだ日の落ち切らない夕暮れの銀座で発生した、あまりにも衝撃的な強盗事件――。上下黒ずくめで白い仮面をつけた3人組がロレックス専門店に押し入り、バールでショーケースを叩き割って逃走する一部始終は、まさに映画のワンシーンを思わせる異様な光景だった。社会部記者によれば、
【写真を見る】ショーケースは見る影もないほど粉々に……店内は強盗団に破壊しつくされていた
「強盗団が逃走を図った白いワンボックスカーは、まもなく警視庁のパトカーに発見され、追尾された挙句に赤坂の住宅地で追いつめられた。車を乗り捨てて飛び出したのは実行犯の3人を含む4人で、まもなく付近のマンションに侵入したところを逮捕されています。逃走車両はレンタカーでしたが、“わ”ナンバーではなく、埼玉県内で盗まれたナンバープレートに付け替えていたようです」
逮捕された4人は、無職の16歳と私立高校3年生の18歳、職業不詳の19歳とアルバイトの19歳。全員が“少年”だった。現場となった店からは100本を超える高級腕時計が盗み出されており、被害総額はおよそ億単位にのぼるという。
かつて神奈川県警で窃盗事件を扱う捜査第3課の刑事を務めていた、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、少年強盗団の背後に“指示役”が存在していた可能性を指摘する。
「そもそも、ロレックスの高級腕時計を狙っている時点で、実行犯の少年たちが企てた犯行とは考えづらい。1本だけならまだしも、100本のロレックスを現金化すれば“足がつく”リスクは高く、素人の少年たちが個人レベルで処理できるとは思えません。捜査当局はすでに古物商などに盗品のシリアルナンバーや特徴などを書き込んだ手配書、いわゆる“品触れ”を送っているはずで、そうなれば国内で換金することはほぼ不可能。海外の買取業者とパイプのある指示役が、少年たちを犯行に走らせたのだと思います」
少年たちを巻き込む手口が巧妙化
盗品の指輪やネックレスといった貴金属は、換金できても購入価格の10分の1以下が関の山だそう。その点、中古価格も高騰しているロレックスは、海外にルートがあれば高値で売りさばくこともできるという。だが、高校生やアルバイト少年にそれほどの伝手があるとは考えづらい。
「逮捕された少年たちは“捨て駒”にされたとしか思えません。逮捕された4人は“お互いのことは知らない”と供述しているようなので、闇バイトを募るSNSや不良仲間などを通じて、即席で強盗団を組まされた可能性が高い。問題なのは、少年たちを凶悪犯罪に巻き込むやり口が巧妙化していることです」
小川氏がその実態を解説する。
「闇バイトの募集に応じると、指示役から連絡があります。その際には、“これまでうちのチームで逮捕者はひとりも出してないんだ。それに、まだ少年だから捕まっても少年院に1年ほど入れば済むよ”“こないだニュースになった事件、あれはうちがやったんだけど逮捕者は出てないでしょ?”などと、手っ取り早くお金を稼ぎたい少年たちを説得するわけです。ただ、強盗のような凶悪犯罪に手を染めれば、たとえ少年であっても、取り返しのつかないことになると理解してほしい」
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