中村剛也、特例で「名球会」入りのハードルが高いワケ ネックは“打高投低”と“もう一人のアーチスト”

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上原、藤川両氏の入会時に働いた“政治力学”

 プロ野球・西武の中村剛也(39)が4月29日の楽天戦(ベルーナドーム)でNPBでは前人未到の通算2000三振を喫した。その直後に今季6号本塁打を放ち、通算460号に到達。本塁打か三振か、中村が真骨頂を発揮した日になっただけに、大台に乗った三振数はよりポジティブに受け止められた。

 今季は山川穂高が開幕早々に故障離脱したため、かつて定位置だった4番に。近年はフル出場が難しくなっている中で、4月は随所に全盛期をほうふつさせる打棒を見せた。8月には40歳となるが、長い球史でも同年齢でのキング戴冠は門田博光(元南海)ただ一人である。「不惑のホームラン王」に肩を並べるようなことになれば、必然的に500本塁打の大台も近づく。

 一方で通算安打は1726本。ここ2年は100安打にも届いておらず、2000本は遠い。名球会(古田敦也理事長=元ヤクルト)入りは特例適用に頼りたいところだが、そのハードルは意外に高いようだ。

 昨年末、名球会は上原浩治(元巨人)、藤川球児(元阪神)両氏の選出を特例で認めた(「名球会の入会規定に相当する記録保持者」として理事会が推薦し、総会で会員の4分の3以上の賛成を得て決定)。いずれも現役時代に投手の入会条件である「200勝」「250セーブ」はクリアしていなかったものの、上原氏は「100勝、100ホールド、100セーブ」、藤川氏は「245セーブ、164ホールド」が評価され、晴れて栄誉を手にした。

 名球会で初の特例選出は、両氏が投手だったことがミソだった。安打数でわずかに入会資格に届かなかった元NPB球団監督が名球会の思惑を説明する。

「名球会会員は元打者が圧倒的に多い(投手17人、打者48人)。2000安打以上に投手の二つの条件は、現代野球ではなかなか(達成が)難しい。古田理事長ら若返った新執行部が(会員の投打の内訳で)バランスを取って投手出身の2人を加えた。ともに東西の人気球団出身で、引退後はメディア活動に積極的。名球会の権威、知名度アップのためにも、ふさわしい人材と判断したようだ。従来は(入会資格の)数字が厳密だったが、それを曲げてまで……」

 確かに数字が重要なスポーツである野球で、“政治力学”が働いた人選ではあった。しかし、名球会の維持、運営には時代の変化に即していく必要性があることも否めない。

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