相続、離婚、空き家問題… 全国で深刻化する「訳あり不動産」当事者になったら、売却できるのか?

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「訳あり不動産」と聞くと、多くの人はアパートなどで自殺者や病死者が出た事故物件を思い浮かべるかもしれない。だが、それは「訳あり不動産」の全体から見ればごく一部であり、相談が増加しているのは、一つの不動産を二人以上で所有する「共有物件」や、建築基準法の改正で現在では違法建築物となってしまった「再建築不可物件」だという。

 そんな「訳あり不動産」を専門に買い取っているネクスウィルの丸岡智幸社長に現状と対策を聞く。

相続で身近に潜む問題に

 やはり、一番多いのは相続後の相談ですね。ご両親が亡くなった後、相続した土地の売却を検討し、土地と建物の登記簿を取り寄せると、そこにはご両親だけでなく、他の親族や見知らぬ人の名が記載されていてびっくりするケースが多々あります。

 これは相続を繰り返した結果で、共有者としてご祖父母のご兄弟などが多く、当事者がきちんと認識せずに相続していることも少なくありません。

 当社が手掛けた過去の事案では、法的な所有者が53人もいて、最も所有割合の少ない人は864分の6でした。

 当社は依頼があった後、まず戸籍を調べて所有者を全て洗い出し、所有者一人ずつと買い取り交渉をしていきます。先にご紹介したように、持ち分が細分化されている案件が多く、地道な作業が必要です。全ての所有者と地道に協議を重ねて、買い取りが完了し、所有権を1つにまとめたら、一般の市場へ流通させています。

ペアローンの落とし穴

 また、最近相談件数が増加しているのは、夫婦名義で所有する不動産の売却ですね。実際の事例を元にお話ししましょう。

 ある夫婦がペアローンを組んで共有持ち分2分の1ずつにしてマンションを購入。数年後に離婚しましたが、元妻はその物件に住み続けていました。離婚後しばらくは、元夫も慰謝料や養育費の支払いもあり黙っていましたが、慰謝料等の支払いも終わり、元妻も再婚する兆候があることを知ったので、元夫が「そろそろ(マンションを)買い取って欲しい」と言ったのです。

 しかし、元妻にとっては長年タダで暮らしている家。「そんなお金はない」と突っぱねました。それでどうしようもなくなり、元夫から当社に相談が来たわけです。

 この事例では、元夫の2分の1の共有持分を弊社が買い取った上で、元妻の元に交渉へ行きました。すると元妻は「ああ、わかりました」と素直に納得したのです。

 多くの場合、当社のような第三者が介在すると、元妻も弁護士や不動産会社などの専門家に相談します。専門家の視点で見れば、元妻の主張が認められないことは明白です。そこで元妻も専門家のアドバイスに従って、我々の要請に応じてくれるわけです。

 とはいえ、離婚した時、きちんと共有物件の不動産を清算しておけば、もっと高い価格で転売できたかもしれません。

 現在、住宅ローンの利用者の中で20代は10組に2組がペアローンを利用する一方、厚生労働省の調査では日本人の離婚率は約35%に上り、10組に約4組が離婚するという現実があります。統計上、「訳あり不動産」の問題は、決して他人事とは言えないのです。

自社で買い取れない物件もマッチングで解決

「訳あり不動産」から「健全な不動産」にして再販するには1物件当たり平均で半年程度かかります。大手の不動産会社が積極的に手を出さない分野であることを逆手に取って、あえて「訳あり不動産特化」の看板を掲げています。

 2020年10月に訳あり不動産特化「Wakegai(ワケガイ)」の事業を始めて、現在は月100件程度の問い合わせがあり、ここ1年で150件程度を買い取りました。

 問い合わせが100件あったら、そのうち買い取れるのはせいぜい20件です。つまり8割は、不動産の価値が低く、事業として取り扱いが難しかったり、規制が厳しく取り扱えなかったりします。規制の問題で難しいものは、例えば農地です。農地は農業従事者しか買えませんから。

 買い取れない物件を何とかしようと、22年2月からは空き家や訳あり不動産を個人間売買できるオンラインマッチングサイト「空き家のURI・KAI(ウリカイ)」の運営も開始しました。情報の掲載は無料で、成約時のシステム利用料は買い主5万円、売り主7万円のみで提供しています。当社での取り扱いは難しくても、買いたいというニーズはあります。そういったい買いたい人と売りたい人のマッチングの場を提供しています。

 この1年間で74件の物件が掲載され、19件のマッチングが成立しました。一方で地方自治体が運営している空き家バンクですが、成約数は平均で月0.4件、年間にすると5件未満しか成約していません。空き家バンクという言葉は広まってきていますが、まだまだユーザーが利用していないということがわかります。

 空き家問題を解決する上で、ユーザーが利用しやすく、気軽に掲載ができるようなマッチングサイトとして、この空き家のURI・KAIをもっと広めていきたいと考えています。

〇株式会社ネクスウィル https://www.nexwill.co.jp/
〇「Wakegai(ワケガイ)」 https://wakegai.jp/
〇「空き家のURI・KAI(ウリカイ)」 https://uri-kai.com/

■「訳あり不動産」は、仲介業者ではなく、買取業者を選ぶべき

 2018年の土地統計調査によれば、全国の空き家数は848万9000戸と過去最高を記録し、2038年には更に増加して2303万戸、全国の住宅の35%に匹敵する家屋が空き家になると予想されている。

 なかでも問題になっているのが所有者不明の不動産だという。2018年の総務省による調査では、所有者不明の土地の面積は九州全島に相当し、現在は国土の約2割で北海道の面積に相当するまで増加していると推定されている。

 なぜ、ここまで所有者不明の不動産が増加してしまったのか。

 ネクスウィルの丸岡社長によれば、

「所有者不明の不動産が増加した理由は幾つかあります。これまで相続で取得した不動産の登記は任意だったため、未登記のまま相続が繰り返されたことで所有者の特定が困難になっていました」

 また、相続した不動産が顔も知らない遠い親戚との共有相続で、所有者間の情報共有が難しく、結局「所有者不明」に繋がってしまうケースもあるという。

 所有者不明の不動産問題の解決に向けて国も動き出し、2024年4月から相続登記が義務化されることになった。丸岡社長はこう続ける。

「売却を決めた、『訳あり不動産』の所有者の方には、是非とも仲介業者でなく、当社のような買取業者を利用していただきたいと思います」

 どの業者へ売却しても、『訳あり不動産』の所有者が手にする金額はさほど変わりはないが、

「多くの買取業者は、当社のように所有者を一つにまとめて再販するので、将来的にも所有者不明の不動産にはなり難い。ですが仲介業者は、投資目的の海外投資家などへ販売するため、持分の共有者は交渉がし難く、まとめることが難しくなる。それが再び相続されることで、共有者とのコミュニケーションが取れなくなり、少なからず『空き家』の増加に繋がってしまうのです。また、売却後にトラブルにならないためにも、買取業者への売却がオススメです」(丸岡社長)

 全国で深刻化する「所有者不明の不動産」問題に繋がる「訳あり不動産」。子供や孫の代までに問題を大きくしたくないなら、丸岡社長の言葉に少しは耳を傾けても良いかもしれない。

■提供:株式会社ネクスウィル https://www.nexwill.co.jp/

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