弾薬持ってこいや! ワグネル創設者とプーチンの“本当の関係” 専門家は「プリゴジンの本音はウクライナ侵攻どころではない」

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軍とワグネルの“確執”

 だが、9日には再び補給を巡って猛抗議を行った。国防省が弾薬を節約し、戦闘員が犠牲になっていると主張したのだ。

 いずれにしても、プリゴジン氏がロシア軍を“口撃”するなどまだ可愛いほうなのかもしれない。何しろワグネルとロシア軍が戦闘を繰り広げたという報道もあったのだ。

 Newsweek日本版は4月24日、「ロシア軍とワグネルが銃撃戦、死者も──ウクライナ軍発表」との記事を配信した。

 記事によると、ウクライナ軍が銃撃戦の事実を明らかにしたが、ロシア軍は戦闘が起きたことを認めず、Newsweekの取材申請にも回答しなかった。担当記者が言う。

「ロシア軍とウクライナ軍の激戦が毎日のように報じられているバフムトはドネツク州の都市で、ロシア軍とワグネルによる銃撃戦が行われたというルハンスク州はドネツク州の隣に位置しています。今年の2月から両州の境でもロシア軍とウクライナ軍が戦闘状態に入ったことが分かっています」

 3月、ウクライナのアレクサンドル・ロドニャンスキー大統領府顧問は、アメリカのCNNの取材に「必要があればウクライナ軍はバフムトから戦略的に撤退する」と明言。欧米や日本のメディアは「ウクライナ軍はロシア軍とワグネルに押し込まれている可能性もある」と報じていた。

「ところが、5月に入ってもバフムトは持ちこたえています。ウクライナ軍の果敢な反撃は続き、ロシア軍が『新たに4地区を占領』と発表すれば、ウクライナ軍も『反撃を行うとロシア軍は複数の陣地から撤退した』と発表し返すなど、情報戦も激しさを増しています。いずれにしても、ロシア側がバフムト占領という確たる戦果を得ていないのは事実であり、その結果、正規軍とワグネルの間に緊張が高まっていたとウクライナ当局は分析しています」(同・記者)

ロシア国防省を脅迫

 Newsweekの記事によると、バフムトを完全占領できない正規軍とワグネルは互いに責任を転嫁。双方が非難を強め、《挙げ句の果てにルハンスク州の村で衝突が起きた》という。

《対立は銃撃戦へとエスカレートし、双方で死者も出たという。事件が発生した正確な日時や死者数といった詳細は分かっていない》

 ロシア軍とワグネルは、バフムトで多大の損失を被っている。双方の関係者が頭に血が昇ったような状態になったとしても不思議はないだろう。

 ホワイトハウスのジョン・カービー戦略広報調整官(60)は5月1日、バフムトでの昨年12月からのロシア側の死傷者は10万人以上に達したと発表。戦死者は2万人を超え、その半数はワグネルが送り込んだ囚人兵だという。

「プリゴジン氏がロシア軍を批判したのは、4月29日に公開されたインタビューでした。プリゴジン氏は『軍はワグネルに充分な補給を行っていない』と糾弾。『弾薬不足が解決されないのであればバフムトの最前線から撤退する』とショイグ国防相に手紙を出したことを明らかにしました(註1)。文字通りロシア軍に脅迫状を送ったと言えるでしょう」(同・記者)

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