「今でも球場でゴミを見つけると拾っている」 WBC白井ヘッドコーチが明かす大谷翔平の素顔
ゴミを拾って“運を拾っているんです”
大谷はメジャーでMVPを獲得した大スター。合流当初、チームには臆するような雰囲気があったという。
「それは私の中にもありましたよ」
と、白井氏。
「日本では彼と一緒でしたが、エンゼルスに行ってからの5年、空白期間があり、ちょっと遠い存在になっていた。それを彼は“よそよそしいじゃないですか”と思ったんでしょう。初めの顔合わせの際、わざと私のことを“誰でしたっけ?”と言ってみたり、ランニング中に体当たりをしてきた。それによって距離がぐっと縮まりましたよね。日ハム時代はまだ若手でしたから、感情を表に出し、チームをけん引するタイプではありませんでしたが、今は自分自身の立ち位置や周囲の空気を察し、変えていくことができる。大きくなったんだなあと思いますよ」
また、
「変わっていないところもある。例えば、彼は球場とかにゴミが落ちていると拾うんですよね。これは当時から変わっていない。以前、それを褒めると“運を拾っているんです”と。高校時代から同じことを心がけていたそうですよ。あれだけ大きくなっても、その精神は同じままなんだな、と思いました」
“10億円もらってもできない仕事”
過去の指導のたまものだが、その指導者の一人、栗山英樹監督(62)についてはこんなエピソードを話す。
「大会中はどんどん痩せていってしまって……。“人って日に日に、こんなに萎(しぼ)んでいくんだ”と思うほどでした。日ハム時代も仕えていましたからわかりますが、栗山監督は責任感が非常に強く、すべて自分で背負い込む。周囲が助け船を出すことはできない。寝たり食べたりする時間が削られていたんだと思います。大会中、ポロッと“10億円もらってもできない仕事かも”と漏らしていました」
ちなみにWBC終了後、白井氏は自らの長女を大谷の嫁にしたい、と発言して話題になったが、
「あれは、同世代の娘を持つ日本中の父親の心情を代弁したまででね。彼自身が選んだ女性こそが最高の伴侶ですよ」
大会後、大谷の別れの言葉は、「白井さん、ありがとうございます。二度と会わないと思いますけど」。
「場の雰囲気を察してのジョークですよね」
大谷らしい言葉だが、果たして今シーズンはどんな“快挙”を成し遂げるのか。