低迷する巨人、原監督が打つべき手は? 一般企業なら責任問題浮上は必至【柴田勲のセブンアイズ】

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ハングリー精神が必要

 私は川上(哲治)監督の要請で1番・スイッチから右打ちに転向して、5番を打ったことがあった。1968年だ。選球眼がよくて出塁率のいい高田繁が入団してきたから若い高田を1番に起用しようとした。

 67年にはスイッチで打率.287、18本塁打、70盗塁していた。正直、70盗塁する打者になぜ長打力を求めるのか分からなかったが、川上さんの頼みを断ることはできなかった。

 右一本の68年は本塁打こそ26本と増えたが三振が106個と激増した。(前年は70)、打率、出塁率も下がった。

 そのうちスタメンを外され、代打を送られることもあった。これではダメだと思い続けて3年目、川上さんに「スイッチに戻したい」と直訴してこれが通った。

 いまは仲良し集団で、監督に言われれば「ハイハイ」と受け入れる時代だ。だが、いくら高給取りでもハングリー精神を持つことが必要だ。前述した高田なんて私より1円でも多く稼ぎたいと思って頑張ったという。時代は変わっても気概だけは忘れないでほしい。

「魔の8回」をどうするか

 確かに中田翔がケガで戦列を離れるアクシデントがあって不運な面も否めないが、今いる選手で苦境を突破するしかない。

 1番梶谷隆幸、2番吉川尚輝(入れ替えOK)、3番坂本、4番岡本和真、5番丸(3、5番は入れ替えOK)、6番アダム・ウォーカーかルイス・ブリンソン、7番大城卓三、8番秋広優人……現状、これでどうか。

 とにかく20~30試合はこれと思った打順で通すことだ。

 投手陣は8回が鬼門になっている。6戦連続で失点している。昨年も8回の失点数はイニング別で最も多い78失点だった。

 今季、この課題を引きずっているが、「魔の8回」とクローズアップされて、出る投手、出る投手が負の連鎖反応を起こしている。

 7日の直江大輔がそうだったが、緊張のあまり顔が引きつっていたように見えた。

 原監督は大勢につなぐ8回を任すことができる絶対的な投手を育てたい。それには経験と成長が必要だ。ここは我慢だが、いずれにせよ、いまのメンバーで乗り切るしかない。

 9日は新潟で首位のDeNA戦だ。先発はサイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアーだ。巨人がどんな戦いを見せてくれるのか。

 いずれにせよ巨人がこんな状態のまま低迷を続けるなら原監督への突き上げはより激しくなることは間違いない。

 私もそうだが、ファンは苦境打開を信じている。(成績は8日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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