阪神・村上頌樹が「佐々木朗希」を上回る驚くべき指標 140キロ台のストレートで“無双状態”

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球速が上がっても制球力は落ちなかった

 最近はボールのスピードを上げることに関してはトレーニングや練習法が確立されてきた一方で、スピードアップした代償としてコントロールが悪くなる例も少なくないという。

 村上はプロ入り1年目と比べてストレートの平均球速が上がっているということも報じられているが、スピードアップしても制球力が落ちなかったことが今年の活躍に繋がっていると言えそうだ。

 また、川村准教授は大学日本代表のスタッフも務めており、2019年に行われた日米大学野球では、村上のピッチングを分析した経験もあるという。当時の投球やそこからの違いなどについても話してもらった。

「大学時代もコントロールは安定していました。ただ、当時はストレートのシュート回転が多かったんですね。だから、右打者の外角を狙ったボールが中に甘く入ってとらえられるということがありました。だから、大会(日米大学野球)では、その恐れもあって、あまり登板する機会はありませんでした(※1試合、2回の登板)。(登板する機会が少なかったので)試合中にネット裏でよく話をしたんですけど、自分の長所や足りない部分をよく理解していて、(野球に対する)考え方がしっかりしていた印象です。体が大きくなくても、結果を出してきたのは、そういうところが大きいんじゃないですかね。今は映像を見る限りですけど、シュート回転する癖がだいぶなくなっているように見えますし、フォームも大学時代より安定して見えます。プロ入り後もいろいろと考えながら、修正してレベルアップしてきたのではないでしょうか」

1球1球の意識が大事

 筆者がドラフト会議後に村上にインタビューした際、コントロールの良さの秘密を聞いたところ、特別な練習方法などがあるわけではなく、日々のキャッチボールや投球練習の1球1球の意識が大事だと話していた。そういった日々の積み重ねがレベルアップに繋がったことは間違いないだろう。

 3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも侍ジャパンの投手陣は軒並み150キロ台中盤のスピードをマークするなど、高速化が進んでいることは確かだ。その一方で、体も大きくなく、140キロ台中盤のスピードしかない村上が、ここまで代表選手を上回る成績を残していることで、改めてコントロールや投球術の重要性を感じたファンや関係者も多かったはずだ。今後も、村上が、体格やスピードに恵まれない投手に希望を与えるようなピッチングを見せてくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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