話題のChatGPTに「慰安婦問題」「原爆投下」について聞いてみた

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河野談話の弊害が

 このAIが学習した元データが、朝日の大誤報をベースに広められた一般情報だから起こったことだと考えられる。

 では、J・マーク・ラムザイヤー教授(ハーバード大学ロースクール所属)の論文(「太平洋戦争における性契約」)や拙著(『「慰安婦」はみな合意契約していた』)などの情報がインプットされ、アップデートされれば改善されるのかといえば、どうもそうではないようだ。

 なぜなら「河野談話とは何ですか」と聞くと、こう答えるからだ。

――河野談話とは、1993年に当時の日本外務大臣であった河野洋平が発表した談話のことを指します。この談話は、第二次世界大戦中に日本軍がアジア各地で行った慰安婦問題に関する謝罪と反省を表明したものです。

――河野談話では、日本軍がアジア各地で慰安婦制度を運用し、多くの女性たちが被害を受けたことを認め、日本政府としての責任を謝罪し、被害者たちに対する補償を検討することを表明しました。また、談話の中で、日本が植民地支配を行っていたことによる歴史的責任も認められました。

――河野談話は、日本政府が初めて公式に慰安婦問題について謝罪と反省を表明したことで、アジア諸国や国際社会から高く評価されました。しかし、一部の日本国内の保守派からは、談話についての批判や反発もあり、今でも議論が続いています。

 当時内閣官房長官だった河野洋平氏を外務大臣としているところは、このAIによく見られる間違いだが、その他はおおむね正確に談話を要約できている。

 問題なのは「日本軍がアジア各地で慰安婦制度を運用し、多くの女性たちが被害を受けたことを認め、日本政府としての責任を謝罪し、被害者たちに対する補償を検討」したという部分だ。

 前にみた「慰安婦問題とは何ですか」に対する答えは、この部分と整合性が取れている。つまり、「強制的に連行された女性たち(主に韓国人や中国人などのアジア各国の女性たち)が、性的暴行や虐待を受け、人権を侵害された」ので、「日本政府は謝罪し、被害者たちに補償(実際は基金だがほとんど政府が出した)」したのだ、という理屈である。

 AIは論理的に矛盾した答えを出さないようにするよう設計されていると思われる。河野談話で日本政府が表明したことと、慰安婦問題についての記述は矛盾しないようにデータ処理される。

 つまり、河野談話が修正されるか破棄されない限り、AIは慰安婦問題について、それに矛盾した答えはしないということだ。言い換えれば、朝日新聞の大誤報に基づいた歴史観が今後もまかり通ってしまうということだ。

原爆投下についてはアメリカ寄り

 次に原爆投下の正当性について聞いてみた。「原爆投下は戦争犯罪ですか」に対しては、AIは次の答えを返してきた。

――原爆投下が戦争犯罪かどうかは、国際法や倫理観など、様々な観点から議論されています。しかし、国際的な法的判断を受けたわけではなく、一定の見解に至ることは困難です。国際法においては、戦争における攻撃の正当性は、自己防衛、安全保障、国際法の遵守など、様々な基準が設定されています。また、第二次世界大戦中には、各国が軍事目的に使用することができる兵器の範囲や使用方法について、国際的な規制が整備されていなかったことも事実です。

――一方で、原爆投下によって多くの市民が犠牲になり、被爆者の長期的な被害や苦しみが残りました。このような点から、原爆投下には人道的な問題があったという指摘もあります。結論として、原爆投下が戦争犯罪として認定されるかどうかは、複雑な問題であり、それぞれの立場や個人の倫理観によって異なる見解が存在します。

 実に煮え切らない、国会で責任を追及されたときの官僚の答弁のような答えだ。明言や断定を避ける、対立する論点があるときは、できるだけ両論併記にするというアルゴリズムが入っているのだろう。

 事実をいうと、原爆投下は、無警告だった点、非戦闘員を大量に殺傷することを意図した点からハーグ 陸戦条約違反であり、明確に戦争犯罪である。

 裁判にかけられなかったから戦争犯罪ではないというなら、現在ロシアがウクライナ侵攻で行っている数々の非人道的、破壊行為、残虐行為も、戦争犯罪ではないことになるだろう。

 皇室維持条項のあるポツダム宣言を示すとか、ソ連の参戦を待つとか、他の選択肢があったのに、ソ連の勢力拡張をけん制するために、わざわざもっとも悲惨な結果をもたらす手段を選んだという点でも、罪が重いといえる(拙著『原爆 私たちは何も知らなかった』参照)。

 日本は被爆国なのだから、もっとはっきりと原爆投下の犯罪性を指摘してもいいはずだ。また、若い世代の歴史認識の形成からいっても、そうしなければならないはずだ。

 ところが、拙著『日本人はなぜ自虐的になったのか』(新潮社)でも明らかにしたように、占領軍が実行したウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)によって「日本人が悲惨な目にあったのは、自ら戦争を起こしたからだ」という認識を広め、占領が終わったあとも、日本のマスコミがこのような報道を繰り返してきたので、それを一般情報として取り入れているこのAIを使うとそのような見方は出てこないのだ。

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