話題のChatGPTに「慰安婦問題」「原爆投下」について聞いてみた

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 Chat GPTの能力については、脅威と驚異を感じるという声が多い一方で、「意外と適当なところもある」といった指摘も少なくない。テレビやYouTubeの企画では、お笑い芸人が自分について聞いて「全然違う」とツッコミを入れるといった姿も見られる。

 おそらく多くの人が、自分自身について聞いてみたら、やはり「全然違う」という答えが返ってくるはずだ。データがほとんどない以上、当然だと言えるだろう。

 この程度のことならば、特に実害はなく、さらなる進化を待てばいいのかもしれない。しかし、それなりにデータがすでに膨大にあるはずの「歴史」においてもかなりいい加減な回答が見られる、と指摘するのは近現代史に関する著作の多い有馬哲夫・早稲田大学社会科学総合学術院教授だ。

「慰安婦問題」「原爆」といったテーマについて聞いた際には、如実にある種の「歴史認識」に基づく答えが返ってくるのだという。

 以下、有馬氏による特別寄稿である。

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 毎日のようにChatGPTについてのニュースが報じられている。その便利さに驚嘆の声が上がる一方、その情報の不正確さ、そして情報漏洩の危険性なども指摘されている。

 私もこのAIが持つ危険性の一つを指摘したい。それは使用者に誤った歴史認識が植え付けられてしまうという問題だ。

 データが不足している場合に、適当な回答をすることはよく知られているが、実は歴史に関する大きな問題についても、事実誤認が見られる。それを「正解」と思う人が多くあらわれるようになるのを筆者は懸念する。

 なぜこういうことになるかといえば、AIが学習した元データそのものに問題がある。日本史についていえば、自虐的な歴史観に基づいたバイアス(自虐バイアス)がかかっているので、自虐的答えしかでてこないということだ。以下、具体例を見てみよう。

慰安婦問題は「中韓」寄り?

 ひどいものから見ていこう。「慰安婦問題とは何ですか」と尋ねると次のような答えが返ってきた(4月28日時点。以下ChatGPTの回答はいずれも同様)。【編集部注:同じ質問内容でも質問文の書き方や利用のタイミングにより原稿とは異なる回答を得る場合があります】

――慰安婦問題とは、第二次世界大戦中に日本軍がアジア各地で行った「慰安所」(売春施設)に、強制的に連行された女性たち(主に韓国人や中国人などのアジア各国の女性たち)が、性的暴行や虐待を受け、人権を侵害された問題を指します。

――慰安婦は、戦争を続けるための軍需物資や兵士の士気を維持するために、日本軍が必要としたものでした。日本軍は、慰安所を設置し、強制的に女性たちを連行し、強制労働させるなどして、多くの女性たちを被害に遭わせました。

――この問題については、被害を受けた女性たちが戦後になってからも訴え続け、国際的な注目を集めるようになりました。現在でも、日本政府や関係者たちの責任をめぐり、論争が続いています。

 事実に反する点を列挙しよう。「強制的」とあるが、応募した女性は両親と一緒に警察署にいって同意書など必要書類を出し、営業許可をもらい、さらに役所で渡航証をもらわなければならなかったのだから、女性本人あるいは家族の同意があったと見るべきであり、軍が「強制」したとは言えない。

「主に韓国人や中国人などの」とあるが、慰安婦のゆうに過半数は日本女性だった。日本を加害国としたい人たちの主張の影響が見られる。

「性的暴行や虐待を受け、人権を侵害された」は、慰安婦が同意と契約に基づくセックスワーカーだった事実を無視している。私娼や公娼に比べても年季が短く、賃金も破格だった。これは危険手当の意味合いもあった。朝鮮人慰安婦のなかにはダイヤモンドを買ったり、故郷に家や土地を買ったりしたものもいた。

「強制的」としたので、日本軍が強制連行、監禁し、性奴隷にして「性的暴行や虐待」を加えたというストーリーを作ったのだろう。これは、朝日新聞の大誤報などをベースとしてさらに尾ひれがつけられたものといえる。

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