日曜劇場「ラストマン」の次は「VIVANT」 主演の堺雅人より脇役の役所広司に業界が注目するワケ
「ヴィヴァン」と読むのだそうだ。TBSは2月27日、看板ドラマ枠「日曜劇場」(日曜・21:00)の7月期は「VIVANT」を放送すると発表した。完全オリジナル脚本で内容は非公開という“情報管理”にも驚きの声が漏れたが、芸能メディアが最も注目したのは豪華なキャスティングだった。
***
【写真を見る】「エンタメ界に一石を投じる素晴らしい企画」と意気込む「役所広司」
同じ枠の「半沢直樹」(2013年、20年)で記録的な視聴率を叩き出した堺雅人(49)が主演。他の出演者は、阿部寛(58)、二階堂ふみ(28)、松坂桃李(34)、そして役所広司(67)という顔ぶれだ。「共演の4人は全員が主演級」と書いたメディアが多かったのも当然だろう。
ドラマ製作に詳しいテレビ局員は、「中でも役所広司さんのキャスティングに驚きました」と言う。
「役所さんは親しい監督や、信頼できる脚本家、原作者が参加している企画でなければ出演しない傾向があります。さらに、基本的に受けるのは主演作品だけです。脇役という異例のキャスティングが実現したのは、『VIVANT』の原作と監督が福澤克雄さん(59)だからでしょう」
福澤氏は「半沢直樹」シリーズの演出家として知られ、福澤諭吉(1835~1901)の玄孫ということでも話題を集めた。そして役所とは、同枠の「陸王」(17年)で仕事を共にしている。
「福澤さんが『主演ではなく共演だけども、絶対に出てほしい』と役所さんを口説き落としたのではないでしょうか。役所さんは名門劇団の『無名塾』出身というプロフィールが有名ですが、舞台は『やりきった』という考えのようです。今の主戦場は映画とテレビドラマで、出演の規準は『脚本を読んで演じたくなったかどうか』だそうです。そのため業界では『役所さんは今後、脚本が良ければ、ひょっとすると脇役でも出演してくれるのではないか』という期待の声が上がっています」(同・局員)
“ビリング”の意味
佐藤浩市(62)、中井貴一(61)、豊川悦司(61)、江口洋介(55)といった大物俳優も、最近は主演ではなくても映画やドラマに出演するようになった。役所が「VIVANT」で脇役を務めることも、そんな時流を象徴しているのかもしれない。
一方のTBSは、役所の“処遇”には最大限の注意を払っているようだ。公式サイトの「出演者」の欄を見れば、興味深いことが分かるという。
「出演者の一覧は“クレジット”と呼びますが、その順番を“ビリング”と表現することがあります。主演は必ずビリングのトップで、『VIVANT』の公式サイトでも堺さんの名前が最初です。役所さんはビリングの最後ですが、これは“トメ”と言います。トメの場合、主演より“格”が高いというニュアンスが含まれることがあるのです」(同・局員)
トメに名前が書かれた場合、その役どころが「ストーリー上、主演と同等か2番手」という意味を持つ。その上で、「主演俳優より年齢もキャリアも上」という役者がトメに選ばれるのが一般的だ。
「VIVANT」は、あらすじすら発表されていないため、役所がどんな役を演じるのかは分かっていない。だが、「堺雅人より年齢もキャリアも上」という条件は完全に満たしている。
[1/2ページ]