「岸田首相襲撃」の責任は警察内でどう見られているか? 「2度あることは3度ある」との声も
理不尽な主張
衆院補選の演説のために訪れていた和歌山市内の漁港で、岸田文雄首相が手製の爆発物で襲撃された事件から3週間が経過した。今回の件をめぐって警察内で誰かの責任が問われたり、誰かが処分されたりしたことはないようだが、当局内でどのように評価されているのか? あるいは今後どのような処分が下る可能性があるのか?
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ここまでの流れを簡単に振り返っておこう。
威力業務妨害容疑で逮捕され、その後に火薬類取締法違反の疑いで再逮捕された木村隆二容疑者は昨年6月、年齢や資金不足を理由に参院選に立候補できないのは不当だとして、国家賠償請求訴訟を提起していたことがわかっている。
「木村容疑者の主張は、“去年7月の参院選に立候補しようとしたところ、公選法が定める参院の被選挙権の年齢に達しておらず、供託金を手配できなかったことで立候補断念を余儀なくされた。その結果、精神的苦痛を受けたし、公選法の規定などは憲法に反している“というものです。現在行われているのは制限選挙だと言わんばかりの内容ですね」
と、社会部デスク。
投げさせてしまった時点で
当然のことながら、この訴訟は神戸地裁で棄却され、5月下旬に高裁判決を待つ状況だ。木村容疑者の真の動機は判然としないが、仮に判決に失望しての犯行だとするなら、「力による現状変更」を狙ったものであり、論外なのは言うまでもない。
「捜査当局は、木村容疑者の殺意を認定したうえで少なくとも殺人未遂罪での起訴に持ち込みたいとの思いがあるようです」(同)
ところで、今回の事件は警察内でどのように評価されているのか?
「爆発物を投げさせてしまった時点でNGですね。さらに、どうして群衆の中に捜査員が紛れこんで犯罪の芽を摘み取ることができなかったのか。安倍晋三元首相が銃撃死して要人警備に注力していたはずなのに、どこに力を入れているのか疑問しかありません。反省材料ばかりです」
と、ある警察キャリアOB。
「爆発物が岸田首相の方へ投げ込まれた後、カバンの形をした盾を使ってそれを排除し、岸田首相を守ったのは和歌山県警の警察官です。和歌山県警は過去に要人警護の実績がないなどと報じられましたが、今回はこの警察官の無駄のない動きで救われたことは間違いありません。一方でSPと呼ばれる警視庁警備部警護課への風当たりが強まっていることでしょう」(同)
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