欧米が規制強化、中露によるサイバーテロも懸念 ChatGPTが抱える最大のリスクとは?

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IT後進国という劣等感

 こうした潮流の中で日本政府はといえば、「行政でなるべく早く使いたい」(河野デジタル相)「国会答弁で活用したい」(西村経産相)などと、諸手を挙げて歓迎する有様である。

「日本はAI開発で遅れており、社会のデジタル化も進んでいない。IT後進国という劣等感が、大臣たちの発言につながっているのだと思います」

 そう指摘するのは、科学哲学が専門で東京大学名誉教授の信原幸弘氏だ。

「各国が規制を強める中、追いつくなら今がチャンスとばかりに日本が歓迎の姿勢をとっているのなら情けないの一言です。デジタル技術を発展させることは否定しませんが、今や対話型AIはすぐにも社会的インフラに匹敵する力を持つでしょう。無批判に受け入れるだけでは、いきなり雇用が奪われたり訴訟が多発したりして社会が混乱してしまう。そうならないための社会制度を構築する視点が、今の日本政府にはあまりありません」

 4月29・30日にG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合が開催されたが、議長国となった日本が“IT後進国”の汚名を拭える日は、まだ先になりそうだ。

平気でうそをつく「対話型AI」

“お薦めのラーメン屋”といった日常生活の情報から小説の執筆、はては大学の課題レポート作成も依頼をすれば難なくこなす。米国では医師免許の試験問題を解かせたところ、合格レベルに達する回答が返ってきたという衝撃の報告まで寄せられているのだ。

 例えば対話型AIに「世界の大谷」について尋ねてみれば、瞬時に優等生的な回答をはじき出す。やはり恐るべき能力を誇るかと思えば、珍回答を連発。“平気でうそをつく”といった利用者の批判も後を絶たない。

 試しに「自分の名前」を入力してプロフィールを尋ねてみれば分かりやすいと話すのは、グーグルなどの検索エンジンの構造に詳しい株式会社「so.la」代表の辻正浩氏である。

「やはり対話型AIには不安な点もあって、私のプロフィールについての答えは出身大学までは合っているのですが、〈2002年に不正アクセス禁止法で逮捕〉と出てくるのです。ソースのページを開くと、〈東京高等裁判所のホームぺージ〉で閲覧できる縁もゆかりもない裁判記録。おまけに私の著書名も出てきますが、全て虚構でした」

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