「ドロドロ血液」汚れの四つの凶悪原因とは? 血管を若返らせる「抗酸化食品」を紹介

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「血糖値スパイク」を起こさないように

 先ほどもお話しした通り、血液の汚れの原因となる「糖」「中性脂肪」はどちらも糖質の取りすぎが原因。そこで、糖質をうまくコントロールできれば血液の汚れを防ぐことができます。

 かといって日々の食事から糖質を抜いてしまうのはナンセンス。とにかく気をつけてほしいのは「血糖値スパイク」を起こさないことです。血糖値スパイクとは、食後の血糖値が急上昇・急降下し、血糖値グラフが棘(とげ)のように乱高下する現象。小腸は、空腹の状態で食事をすると、最初に食べたものを貪欲に吸収するという性質があるのですが、そんな状態で糖質を摂取すると血糖値が急上昇してしまうのです。

 これを防ぐためには、まず朝食を含め一日三食をきっちり食べること。さらに野菜やお肉・魚を食べた後に白ご飯など糖質を取るようにすることが大切です。

 特にお肉は重要なたんぱく源で、フレイル(虚弱)を防ぐためにも積極的に取りたい食品。私は日頃“安い肉を食べましょう”と話しています。口に入れた途端、溶けてなくなるような高級肉よりも安い肉の方がかむ回数が増えて血流促進に効果的。さらに唾液の分泌も増えて歯周病菌を減らすことにもつながります。

 それから、オメガ3系不飽和脂肪酸という脂質を含むサバなどの青魚も血管を元気にしてくれる食べ物です。グリーンランドに住むイヌイットたちはほとんど野菜を食べないのに心筋梗塞など血管由来の病気がとても少ないのですが、彼らの血液を調べたところ、このオメガ3系不飽和脂肪酸が多く含まれていることが分かったのです。

早食いは寿命を縮める

 糖質の吸収を緩やかにする秘策としては「早食い」をやめることも効果があります。ゆっくり食べるコツは誰かと一緒に話をしながら食事を楽しむこと。一緒に食べる人がいないのであればテレビやスマホを観ながら食事をしてもいいでしょう。お行儀という意味では難点がありますが、一人で食事をするときのことですし、早食いで寿命を縮めるよりはマシです。

 また、食前に高カカオチョコを食べるのもおすすめ。カカオポリフェノールには抗酸化作用があり、血管を若々しく保つだけでなく高血圧、高血糖、高中性脂肪を防ぐ効果があることも分かっているからです。食事前に一かけらを食べることで血糖値スパイクも防ぐことができますから、食前の高カカオチョコは一石二鳥どころか一石三鳥、一石四鳥の効果があるのです。

 他にも方法はいろいろありますが、大切なのは「糖」「中性脂肪」「ストレス」「歯周病菌」に気を付けること。皆さんも血管を若々しく保って、是非、介護要らずの老後を楽しんでください。

栗原 毅(くりはらたけし)
生活習慣病・血管専門ドクター。1951年新潟県生まれ。医学博士。北里大学医学部を卒業し、東京女子医大教授や慶應義塾大学大学院教授などを歴任。2008年に栗原クリニック東京・日本橋を開院し、消化器病や生活習慣病の予防・治療に当たる。『血管が強くなる習慣』『1日1杯 血液のおそうじスープ』など著書多数。

週刊新潮 2023年4月13日号掲載

特別読物「晩年の『要介護期間10年』を短くしたい! カギは『血管若返り』」より

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