坂本龍一さんの本質とは それは私が出会った頃から最後まで変わらなかった【松武秀樹氏の証言】

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《細野晴臣さん、高橋幸宏さんとYMOを結成。「ライディーン」「東風」「ビハインド・ザ・マスク」など、シンセサイザーとコンピューターを駆使したサウンドで、「テクノポップ」という新たな領域を開き、世界的な人気を獲得した》──朝日新聞デジタルは4月2日、「坂本龍一さん死去 がん闘病 『ラストエンペラー』アカデミー作曲賞」との追悼記事を配信した。(全3回の3回目)

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 YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)が結成されたのは1978年2月19日と伝えられている。

 この日、細野晴臣さん(75)は、レコーディングなどで面識のあった高橋幸宏さん(1952~2023)と坂本龍一さん(1952~2023)を自宅に招いた。3人はこたつに入り、おにぎりを食べ(みかん説もある)、細野さんがYMOの構想を説明すると、高橋さんも坂本さんもすぐさま賛同したという。

 細野さんがベース、高橋さんがドラム、坂本さんがキーボードを担当。78年11月にアルファレコードからデビューアルバム「YELLOW MAGIC ORCHESTRA」をリリース。79年9月発売のセカンドアルバム「SOLID STATE SURVIVOR」が大ヒットし、一気にスターダムに駆け上がったのはご承知の通りだ。

 デビューから45年の歳月が経過し、今年1月、高橋さんが脳腫瘍により併発した誤嚥性肺炎のため70歳で死去。そして3月、坂本さんも71歳で死去した。

 現在でも多くの追悼記事が配信されている。そしてYMOに対する歴史的評価となると、どうしても「コンピューター」や「テクノ」という単語が多用され、デジタル音楽のパイオニアと位置づけられることが多い。

 YMOのサウンドはコンピューターが完全に統御しており、レコーディングでもライブでも全く変わらない──こんな“デジタル幻想”をファンでも抱いてしまう。

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