YMO「伝説の海外ツアー」を松武秀樹氏が語る BEHIND THE MASKの演奏で重大なトラブルが…その時メンバーはどうしたか

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緊張の日々

 ロスのライブ中、チューブスでキーボードを担当するマイク・コットン(73)が自宅にメンバーを招待してくれたという。

「あれは今思い出しても、とてもよい一夜でした。幸宏さんはチューブスのメンバーと親しかったから、マイクが僕らを自宅に呼んでくれて、料理やお酒でもてなしてくれたんです。みんなで色んな話をしたけれど、やっぱり盛り上がるのはシンセサイザーの話題でした。細野さん、幸宏さん、そして坂本さんとマイクが、シンセの情報交換をしていたのを憶えています。酒呑んでどんちゃん騒ぎっていうのは、日本のライブでも見たことがないですね。演奏が終わったら撤収して、ちょっとだけ呑む時もあるけれど、基本は明日も早いから帰って寝る。非常に健康的な日々でした」

 松武さんにとっては、緊張の日々でもあった。自分のプログラムがライブ当日にちゃんと動くのかは誰にも分からない。

 そもそも輸送からして難題だった。2回目のワールドツアーではシンセサイザーだけで重量が約2トンという記録が残っている。

「1回目と2回目では機器が根本的に違っています。ロスはモーグⅢ-Cとヤマハからレンタルしたミニタンスの2台。ワールドツアーはモーグⅢ-CとE-MU(イーミュー)という会社のモジュラーを持って行きました。どちらも馬鹿でかいケースにクッションを敷いて梱包して、あとはJALカーゴの皆さんに安全輸送を託すわけです。ちなみにワールドツアーのほうがより巨大だったので見栄えがよかったし、何より正面を向くことができました(笑)。みんなの演奏も、観客の反応も、何もかも見えますから、『これはいいな』って嬉しかったですね」

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