YMO「第4のメンバー」が語る“若き日の坂本龍一さん” 出会いは渋谷公会堂のイチベル制作、モーグⅢCを巧みに使いこなした衝撃

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死去の連絡

 YMOのメンバーは一貫して、細野さん、高橋さん、坂本さんの3人。メンバーが替わったり、数が増えたり減ったりすることはなかった。古今東西の人気バンドで、これは非常に珍しいとの指摘は少なくない。

 そんなYMOで「第4のメンバー」と呼ばれたのが、シンセサイザープログラマーの松武秀樹さん(71)だ。松武さんに改めて高橋さんと坂本さんについて振り返ってもらった。

 高橋さんが亡くなったのは1月11日午前6時ごろだったが、訃報が公式に発表されたのは15日だった。つまり一種の“タイムラグ”があったことになる。

「僕は幸宏さんのマネージャーさんと親しく、幸宏さんの健康状態について話を聞く機会が何度もありました。ただ11日に亡くなられた際は、もちろん大変な状態だったでしょうから、連絡はいただけなかった。ところが、虫の知らせと言うんでしょうか、幸宏さんと親しかった方々が『ひょっとすると……』と連絡を取り合うようになったんです。そういう経緯で僕にも問い合わせが入ったりしましたが、マネージャーさんに連絡するわけにもいかない。そうするうち、12日か13日に幸宏さんが亡くなられたことを聞きました」

 高橋さんは2020年に脳腫瘍の手術を受けたことを明かし、Twitterなどで病状を報告していた。昨年9月にはプロ活動50周年を記念するライブが予定されていたが、最終的には本人の欠席が発表された。

「僕もライブには足を運びました。『たとえ歌えないにしても、車椅子に乗って挨拶ぐらいはしてくれるのではないだろうか』と期待していたのですが、公演前に配られた紙に欠席が記されていました。『やっぱりそうか、病状は思わしくないのか』と心が痛みましたが、それでも幸宏さんが亡くなるなんて考えもしなかった。だから訃報を聞いても突然という印象が強く、それから数日間は何をする気も起きませんでした」

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