「13万円のコース」が即完売…京都にオープンした「世界一予約が取れないレストラン」の料理と味は?
コペンハーゲンの店を閉め日本で食材探し
食事の内容は金額に見合っていると思えたのか? 峯岸氏は「店に入った瞬間に額に値すると思いました」と語る。
「厨房を見たら、スタッフの数が凄い。彼らはここがオープンする何ヵ月も前からコペンハーゲンの店を閉め、日本に来て全国を回って食材探しをしていたんです。そうやって見つけ出した日本の厳選素材を、レネが独自の解釈で料理に落とし込む。超一流の料理人が見つけた日本の素材が、ニューノルディックの衣を纏ってどう変わるのか。これは食文化の全く新しい体験です」
峯岸氏によれば「シェフのレネは日本料理をリスペクトしています」という。レネ・レゼピ氏は以前から日本の発酵文化、出汁文化に注目していたといい、「北欧にも発酵食品はありますが、それとは違う味噌や醤油などの発酵食品、昆布などの出汁を取る料理など、日本の食を学びたいというのも、レネが日本に長期滞在して店を開く理由の一つです。世界中のノーマファンにとっては、日本滞在を通してさらに進化したレネがどんなものを作るのか、ものすごく興味を引かれ、どうしても食べてみたいに違いありません」
さらに、店内の客層は「ざっくり見て8割が西洋系、残りの2割がアジア系という感じでした。プロの料理人もけっこういそうです。外国語ばかり飛び交って、日本語を喋っているとアウエー感が半端なかったです」と、席のほとんどが欧米人によって占められていたという。また「別の日に行った友人も同じようなことを言っていました」といい、5000席の多くが海外から訪れたフーディーによって買われていたと見られる。春の京都はホテル代も高く、旅費を合わせればかなりの金額になっていそうだが、そんな金額など気にしないガチなフーディたちや様子を知りたいプロの料理人たちが、5月20日まで世界から京都に集結し続ける。
謎の食材「とうもろこし節」で出汁を取った絶品創作料理
では、肝心の料理はどんなものが出たのか。
「日本の食材を使い、日本の料理法も取り入れていますが、見たことがない創作料理の連続でした。例えば最も印象に残ったのはタケノコを使った一品です。なんとコーン節、つまりとうもろこしを燻製したもので鰹節のように出汁を取り、その出汁でタケノコを煮て、ジャスミンティーとヤリイカのソースを合わせたものです。とうもろこしの香りと甘み、節にしたことによる香ばしい香り、ジャスミンの香り、イカの旨み、それらを纏ったタケノコ。ちょっと見たことがないアプローチですね」
このような初めて見る斬新な料理が次々と現れたという。味も格別だったようで、
「素材の味を強く感じました。有機栽培とか、少量生産の農家さんからとか、相当こだわって探してきたようです。魚介も含め、北海道産が多かったですね。こだわりがあふれ出て、料理を出された時の説明が長かったです(笑)。日本料理に寄せていますから、正直、既視感というか、“ああ、これね”とどこかで食べたものと重なる部分はありました。ただ、それは普段から日本食を食べているからで、海外からのお客さんは、コペンハーゲンの店では食べられない、全く未知の料理と味に驚きの連続だったと思います」
反対に、がっかりするような料理はなかった?
「料理についてはありません。あえてネガティブな点を探せというなら、お酒のペアリングですかね。豆腐のような繊細な料理に対して、味が強いお酒が出されたことぐらいです」
なお、提供されたワインや日本酒などの酒も全て日本産のもので、「原料となった米やブドウがどう作られたかまでしっかり調べて選ばれたものでした」。
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