「13万円のコース」が即完売…京都にオープンした「世界一予約が取れないレストラン」の料理と味は?
一食、おひとり13万円。
京都にそんなお店が期間限定でオープンし、世界中からフーディーたちが押し寄せているという。値段をものともせず、予約で全日満席。ウエイティングリストにはキャンセル待ちをしている人が山ほどいるというのだ。庶民には想像がつかない世界。いったい何が起こっているのか? 実際に食事をした会社経営者の男性に話を聞いたところ、「むしろ安いぐらい」だという。どういうこと?【華川富士也/ライター】
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【写真15枚】プラチナシートを獲得した客だけが堪能できる、趣向を凝らした極上のコース料理をご覧あれ
いま、世界の食通が京都のある店に注目している。その店の名は「ノーマ京都(Noma Kyoto)」。美食家の間で「世界一予約が取れないレストラン」と呼ばれるデンマーク・コペンハーゲンの超有名店・ノーマが、店を休んで約100人のスタッフごと京都へ移動。京都市のエースホテル京都のメインダイニング(64席)を会場に、3月15日から5月20日まで10週間限定で店を開き、日本の食材を使った特別な料理を提供している。
ノーマのオーナー兼料理長、レネ・レゼピ氏は、スペインの超人気店だった「エル・ブジ」などで修行後、2003年、コペンハーゲンに「ノーマ」を開業した。レゼビ氏は地元の素材を使った独創的な料理を次々と生み出して「ニューノルディック料理」を確立。ノーマが起こした食の革命は、美食のイメージが全くなかったデンマークへ世界中から大量の美食家を呼び寄せることにつながった。
また、ノーマのもう一人のオーナーは、北欧諸国を巻き込んだ「新北欧料理」ムーブメントを仕掛け、デンマークのみならず北欧の食のレベル向上に貢献した。その影響は、観光業はもちろん、地域の農業、漁業にも及んでいる。
こうした取り組みが功を奏し、ノーマは英国の会社が発表している「世界ベストレストラン50」で、2010年、2011年、2012年、2014年、2021年と5回も世界1位に選ばれ、ミシュラン3つ星も獲得している。“食の不毛地帯”とまで呼ばれたデンマークのイメージを変える流れを作ったのがノーマなのだ。
繰り広げられた激しい席取り競争
そんな世界トップクラスのレストランが、スタッフごと移動して京都でポップアップ出店するインパクトは大きかった。ノーマ京都に用意された約13万円、計5000余りの席が、あっという間に完売したというのだ。繰り返すが、ひとり13万円である。そんな価格の5000席が、奪い合うように売れていったのだ。
このプラチナシートをゲットし、実際にノーマ京都で食事をした人に話を聞いた。音響会社経営者で、東京・大田区の喫茶店「ザ・リビング」のオーナーでもある峯岸暁氏だ。峯岸氏の店は巨大フルーツパフェなど独特のメニューがたびたびテレビや雑誌、ネットメディアに取り上げられる人気店で、峯岸氏は店の責任者である奥さんと共に、毎月海外を訪れ、新メニュー開発のために高級店から庶民的な店、時には農園まで訪れるなど様々な場所で食べ歩いている。
まず大きな疑問。どうやって席をゲットしたのか? 峯岸氏によれば、
「ノーマとつながりがある友人が直接予約してくれました。料金は食事と飲み物のペアリングで775ユーロ、これにサービス料10%と事務手数料が加わり、ユーロのレートもあって私は約13万円払いました。エースホテル京都が用意する『Noma Kyoto 2名様お食事確約宿泊プラン』もあって、これはエースホテル京都に2人で2泊するのとセットでノーマ京都の予約が取れるというものです。ただしキャンセル待ち状態です」
予約ページによれば、宿泊プランは部屋代「149,160円~(サービス料・税込)+ノーマ京都での食事代2人分」。食事代は一人12万5000円。料金をざっくり計算すると約40万円となる。このプランを選んだ場合、メインイベントの1食のために、2人で少なくとも40万円が必要というわけだ。
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